2024年の石油生産、中東で前年比0.4%減の日量3,012万バレル、世界全体では過去最高

(中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、米国、日本、イラン、インド、中国、世界)

調査部中東アフリカ課

2025年06月30日

英国のエネルギー関連団体のエネルギー研究所が6月26日に公表した「世界エネルギー報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、世界の2024年の電力需要は記録的な水準に達し、化石燃料の利用と二酸化炭素(CO2)排出量は4年連続で過去最高を更新した。一方で、再生可能エネルギー(再エネ)の利用も大幅に増加しているという。

世界の石油生産量は前年比0.6%増加し、過去最高水準の日量9,689万バレルだった。中東(注)では、減産調整の方針もあり、前年比0.4%減の日量3,012万バレルで、世界シェア31.1%となっている。前年の中東のシェア31.5%から微減となった。OPEC加盟国では前年比わずか0.04%増で、シェアは33.9%だった。なお、石油需要をみると、中東では1.6%増となった。また、中東の再エネによる発電は世界全体のわずかシェア0.6%だ。サウジアラビアでは太陽光発電容量はまだ少ないながら、前年比67.9%増と大幅な伸びを示した。

生産の上位10カ国中の半分が中東

国別の石油生産量を見ると、米国が前年比3.6%増の日量2,014万バレル、世界シェア20.8%で最大だ。サウジアラビアが前年比3.6%減の日量1,086万バレル(シェア11.2%)、ロシアが1,075万バレルで続いた。

石油生産国トップ10の日量生産と前年比増減率は次のとおり。

  • 米国:2,014万バレル、3.6%増
  • サウジアラビア:1,086万バレル、3.6%減
  • ロシア:1,075万バレル、2.9%減
  • カナダ:589万バレル、4.3%増
  • イラン:506万バレル、10.7%増
  • イラク:440万バレル、1.0%増
  • 中国:426万バレル、1.6%増
  • アラブ首長国連邦(UAE):401万バレル、0.3%減
  • ブラジル:347万バレル、1.0%減
  • クウェート:272万バレル、6.3%減

石油輸出量も米国、サウジアラビアの順

2024年の世界の石油輸出量は前年比0.1%増の日量6,944万バレルだった。国別では、前年に続いて米国が最多で、前年比6.3%増の日量988万バレルだった。生産順と同じく、サウジアラビアが同6.3%減の日量765万バレル(シェア11.0%)で2位、ロシアが同3.3%増の日量704万バレルで続いた。サウジアラビアを除く中東の輸出量は1.7%増の日量1,660万バレルで、世界シェア23.9%となっている。

サウジアラビアからは中国、日本、欧州の順に原油輸出量が多い。UAEからは日本、中国、インドの順、クウェートからは中国、日本、インドの順だ。なお、石油製品の輸出量を見ると、UAEからはアフリカ、インド、中国向けが多く、サウジアラビアからは欧州、アフリカ、インド向けが多い。

2024年の石油輸入量は、中国が前年比3.5%減の日量1,340万バレル、米国が1.5%減の843万バレル、インドは3.8%増の598万バレル、日本は7.0%減の310万バレルと続いた。

2024年の原油価格は、平均価格は前年に続いて下落したものの、2019年と比べると高い水準だったという。一方、2025年6月にイスラエルとイランの軍事衝突や米国のイランへの攻撃など中東情勢の悪化もあり、ホルムズ海峡への懸念などもあり、足元では石油価格が上昇を見せた(2025年6月19日記事6月24日記事参照)。

(注)同報告書では、イラン、イラク、イスラエル、ヨルダン、レバノン、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、シリア、アラブ首長国連邦(UAE)、イエメンを中東に含む。

(井澤壌士)

(中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、米国、日本、イラン、インド、中国、世界)

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