中東情勢緊迫化に伴い、原油価格高騰やフライトへの影響広がる

(イスラエル、イラン、米国、アラブ首長国連邦、カタール、クウェート、バーレーン)

ドバイ発

2025年06月24日

イスラエルとイランの交戦(2025年6月13日記事参照)および米国からイランへの攻撃(2025年6月23日記事参照)により中東情勢が緊迫していることを踏まえ、アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領は、クウェートのナッワーフ・アル・サバーハ首長、カタールのタミム・アル・サーニ首長、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相とそれぞれ電話会談を行った、と6月22日付国営エミレーツ通信(WAM)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが報じた。会談では、対話と平和的解決を優先し、さらなるエスカレーションを避けるとともに、外交的手段による緊張緩和を目指すためにあらゆる努力を各国がしていくことを再確認した。

日本の外務省が定める海外の危険レベルでは、6月22日からUAE、カタール、オマーンの危険レベルがレベル1(十分注意してください)へ引き上げとなった。急な状況変化による空域や空港の閉鎖の可能性についても懸念されるほか、6月22日付ロイター通信の報道によると、域内にある米国軍事基地がイランの報復の対象になる可能性があるとして、基地がある、カタール、クウェート、サウジアラビア、UAEなどで警戒が高まっている。なお、報道によれば、イランが日本時間6月24日、中東カタールの米国軍基地に対しミサイルを発射したという。カタール政府は、防空システムにより迎撃し、人的被害は発生していないと発表している。

また、イランがホルムズ海峡の閉鎖を国会で承認したことにより、今後、実際に閉鎖された場合には物流の混乱が懸念されるほか、原油供給への影響の懸念から原油価格は高騰し、6月23日のWTIの先物価格は一時、1バレル78ドル台半ばまで上昇した。

航空便の遅延や運休も発生している。UAE現地紙「ザ・ナショナル」(6月23日付)によると、同日時点の情報では、英国のブリティッシュ・エアウェイズは、ロンドンからドバイおよびドーハ行きのフライトの運休を発表した。現時点では、7月6日以降のフライトに変更できるとしている。シンガポール航空も、シンガポールとドバイ間の運航を25日まで停止した。エア・カナダはトロントとドバイ間の直行便を、米国のユナイテッド航空はニューアーク発ドバイ行きの便をそれぞれ7月3日まで運休すると発表している。KLMオランダ航空は、6月19日から6月29日までの間にアムステルダムとドバイ間でフライトを予定していた乗客に対し、予約変更と払い戻しを受け付けている。日本航空(JAL)は6月24日、東京・羽田とドーハ間のフライトの運航を当面の間見合わせると発表した。

(清水美香)

(イスラエル、イラン、米国、アラブ首長国連邦、カタール、クウェート、バーレーン)

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