第1四半期GDP成長率は前年同期比4.4%、内需が牽引
(マレーシア)
クアラルンプール発
2025年05月26日
マレーシア中央銀行と統計局は5月16日、2025年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率が事前の推計どおり(4月18日統計局)、前年同期比4.4%だったと発表した。背景には堅調な内需がある、と中銀は説明した。一方、鉱業部門の輸出減少により、成長率は3期連続で減速したとも指摘した。
需要項目別にみると、内需は6.0%増で好調だった。うちGDPの6割を占める個人消費は、好調な労働市場と政策支援を背景に5.0%増となったが、成長は前期からやや鈍化した。また、同様に減速した民間投資は9.2%増だった。成長の勢いが弱まった民需に対し、政府消費は4.3%増、公共投資は11.6%増と、いずれも伸びが加速した。輸出は4.1%増に鈍化したものの、同様に減速した輸入の伸び率を上回ったため、純輸出は19.6%増とプラスを維持した(添付資料表1および図参照)。
産業別では、鉱業・採石業を除き、主要産業で軒並みプラス成長となり、特に建設業が引き続き2桁増で好調だった(添付資料表2参照)。製造業とサービス業は、それぞれ4.1%増と5.0%増と、前期からほぼ横ばいだった。うちシェアが最大の電子部品、通信機器、家電は8.3%増と成長が加速した。また、農業は、シェアの大きいパーム油の落ち込み幅が縮小し、同部門に分類された漁業が下支えしたことにより、0.6%増とプラス成長に転じた。一方、鉱業・採石業は、石油と天然ガスの生産縮小により、3期連続でマイナスを記録した。
関税の影響受け通年の成長率は下方修正の可能性
2025年通年の経済成長率見通しについて、中銀のアブドゥル・ラシード・ガフォール総裁は、変化する関税政策の影響により、前回予測の4.5~5.5%(2025年3月26日記事参照)よりも低下すると予想した。また、米国との交渉状況が明らかになってから、近い将来に最新の成長率予測を発表する予定だと付け加えた。
なお、2025年の総合インフレ率と、物価変動の激しい食料品やエネルギーを除いたコアインフレ率は、世界的な物価上昇圧力の緩和や、過度な需要超過がみられないことにより、それぞれ2.0~3.5%、1.5~2.5%となり、管理可能な範囲内にとどまると予測した。
(戴可炘)
(マレーシア)
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