2025年のGDP成長率は4.5~5.5%と予測、内需と輸出が牽引

(マレーシア)

クアラルンプール発

2025年03月26日

マレーシア中央銀行は、3月24日に発表した2024年の年次報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、2025年の実質GDP成長率を4.5~5.5%と予測した(添付資料表、中銀プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照)。世界的に不透明感が高まる中でも、堅調な内需や輸出の緩やかな拡大に下支えされ、2024年並みの成長率を達成できる見込み。財務省が2024年10月に提示した予測(2024年10月25日記事参照)を据え置いた。

経済成長の牽引役は引き続き内需で、2024年並みの6.3%成長が見込まれている。個人消費の伸びは、雇用環境の改善と所得増を背景に、前年の5.1%増から2025年には5.6%増へと加速する見通し。民間投資の伸びは、前年の12.3%増から10.1%増へやや鈍化するものの、投資事業の着実な承認や各種国家戦略の実行により足元の投資意欲は高水準にあると分析した。また輸出は、世界的な不確実性が高まる中にあって、2025年には6.5%増と、わずかな減速にとどまる見込み。半導体市場の復調が、電気電子を中心とする製造業の輸出に追い風になると分析した。産業別では、鉱業以外の分野で前年並みの成長が見込まれている。特に建設業は引き続き2桁増の伸びとなり、サービス業も物流や金融、不動産含め全セクターの好調により加速する見込み。

中銀は、経済成長へのプラス要因として、貿易交渉や成長戦略に裏打ちされた外需の増加、テクノロジー部門の復調による波及効果、観光活動の活発化、投資事業の実施加速などを想定した一方、リスク要因としては貿易制限的措置の増加、地政学的緊張の激化、企業の信頼感や消費者心理の鈍化、予想より低調な一次産品生産を挙げた。

インフレは上昇傾向も、管理可能な水準に抑制

物価は上昇傾向にあるものの、総合インフレ率は2.0~3.5%に収まると中銀は予測した。エネルギーや食品などの価格変動が大きい品目を除くコアインフレ率は、最大2.5%とした。世界的なコスト圧力の緩和、および需要の落ち着きにより、インフレは管理可能な水準に抑制されるとの見通しだ。最低賃金(2025年1月7日記事参照)と公務員給与の引き上げも、需要増加の助長にはつながらないと分析した。ただし、ガソリンなど補助金見直し政策は基本的にはインフレにつながらないとする一方、政策の詳細によっては消費者へのコスト転嫁を招く可能性もあると指摘したほか、国外要因としては貿易制限的措置導入とこれに対する相手国の報復措置に伴うコスト上昇が、インフレ率を上振れさせる可能性を指摘した。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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