米下院歳入委員会、「大きく美しい1つの法案」のIRA税額控除の見直しに係る条文案発表
(米国)
ニューヨーク発
2025年05月14日
米国連邦議会下院の歳入委員会は5月12日、減税や歳出削減、債務上限引き上げなどをまとめた、いわゆる「大きく美しい1つの法案」と呼ばれる法案のうち、税制に係る部分の条文案を発表した。今回発表の条文案には、個人向け減税(2025年5月14日記事参照)や企業向け減税のほか、インフレ削減法(IRA)の下で設立されたエネルギーなどに関連する税額控除の見直し、不法移民への給付の防止、債務上限の4兆ドル分の引き上げなどが盛り込まれている。なお、税制以外の条文案については、4月に採択された予算決議に沿って、委員会ごとに歳出削減などに係る該当部分の条文案を発表している。
今回発表された減税部分の条文案のうち、IRA税額控除の見直し対象は次のとおり。
(1)2025年12月31日に廃止となる主な措置
- クリーンビークルに対する税額控除〔内国歳入法(IRC)30D、25E、45W〕:いずれの措置についても、2025年12月31日を期限として廃止する。ただし、新車に関しては、2025年12月31日時点で販売が20万台に達していないメーカーに限り、2026年度も適用可能な特別ルールが導入される。
- クリーン水素製造クレジット(IRC45V):2025年12月31日を期限として廃止する。
- エネルギー効率化住宅クレジット(IRC45L):2025年12月31日を期限として廃止する。ただし、2025年5月12日以前に着工された住宅を2026年12月31日までに取得した場合には、控除の対象となる特別規定を設ける。
- 住宅用クリーン・エネルギークレジット(IRC25D):2025年12月31日を期限として廃止する。
(2)段階的廃止となる主な措置
- クリーン電力生産クレジット(IRC45Y)、クリーン電力投資クレジット(IRC48E)、
- 先端製造業生産クレジット(IRC45X):風力発電用部品に関しては、2027年12月31日以降に販売されるものについて、税額控除が廃止される。それ以外の部品に関しても、廃止が1年前倒しとなり、2031年12月31日以降に販売されるものについては、税額控除を廃止。また、特定の禁止された外国法人が参入・関与する場合の制限については、ほかよりもより厳しい規制がかけられている。
(3)そのほかの変更
炭素回収クレジット(IRC45Q)については、税額控除自体に大きな変更はないが、クレジットの譲渡制限や特定の禁止された外国法人に関する制限が盛り込まれている。
クリーン燃料製造(IRC45Z)については、ほかとは逆に、控除期間が3年間延長され、2031年12月31日までに製造されたものが対象となる。ただし、クレジットの譲渡制限や特定の禁止された外国法人に関する制限が盛り込まれている。
(加藤翔一)
(米国)
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