中国商務部、米中共同声明を受け米企業への一部制限措置を緩和

(中国、米国)

北京発

2025年05月15日

中国商務部は5月14日、4月4日と9日に発表した「信頼できないエンティティー・リスト」への米国企業計17社の掲載(2025年4月9日4月11日記事参照)について、5月14日から90日間停止すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。中国国内企業がこの17社と取引をする場合、関連規定に基づいて申請を行い、「信頼できないエンティティー・リスト」業務機関が法に基づいて審査し、条件を満たすものは承認するとしている。

また、商務部は同日、同じく4月4日と9日に発表した「輸出管理コントロールリスト」への米国企業計28社の掲載を5月14日から90日間停止すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。28社に両用品目を輸出する場合、輸出者は両用品目輸出管理条例の関連規定に基づいて商務部に申請し、商務部は法に基づいて審査を行い、規定に適合するものには輸出許可を与えるとしている。

これらの措置は、メディアからの「米中共同声明(2025年5月13日記事参照)における、4月2日以降の米国に対する非関税対抗措置の一時停止、または撤廃に関するものか」との質問への回答として発表された。

関税税則委は関税引き下げ開始時刻を発表、外交部はフェンタニル問題に言及

米中共同声明を受け、中国政府の関係部門は、措置の具体的な開始時間や、声明に関するコメントを発表している。

国務院関税税則委員会は5月13日、税委会公告2025年第7号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、前日の12日に発表した米中共同声明における措置の開始時間を5月14日午後0時1分からと定めた(注)。

中国外交部は5月13日の定例記者会見で、米国側が合成麻薬フェンタニルの問題に起因する20%の追加関税を維持していることに関して、フェンタニルは中国による問題ではなく米国の問題であり、責任は米国自身にあると強調した。また、米国側は中国側の善意を無視し、不当に中国に対して関税を課したことで、中国と米国の麻薬対策分野の対話と協力に深刻な影響を与えていると指摘した。米国が中国と本当に協力したいのであれば、中国に責任をなすりつけるようなことはやめ、対等に双方を尊重し、互恵的な方法で中国と対話すべきと述べた。

なお、外交部報道官は14日、米国がフェンタニルを口実に中国に理不尽な2度の追加関税を課したことに対し、中国は即座に関税および非関税措置を含む対抗措置を実施し、自身の正当な権益を断固守ったと説明した上で、これらの対抗措置は依然として有効だと明言した。

(注)税委会公告2025年第7号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、税委会公告2025年第4号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで定めた米国商品に対する追加関税34%のうち24%の適用を90日間停止し、残りの10%の関税は適用を継続するとした。また、税委会公告2025年第5号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます第6号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによる追加関税(計91%)は実施を停止するとした。

(亀山達也)

(中国、米国)

ビジネス短信 d9d4239e1d238917