中国、米国企業に対する複数の貿易管理措置を発表
(中国、米国)
北京発
2025年04月09日
中国政府は4月4日、米国企業に対し複数の貿易管理措置を発表した。
(1)信頼できないエンティティ―・リストに米国企業11社を追加
中国商務部は4月4日、関連法規定に基づき、新たに11社(添付資料表1参照)の米国企業を「信頼できないエンティティ―・リスト」に掲載すると発表した(即日実施)。今回掲載された企業は中国関連の輸出入や中国境内(香港、マカオを除く)への新規投資が禁止される。商務部は同日、これら11社が中国の反対にもよらず台湾と軍事技術協力を行い、中国の国家主権や安全保障、発展の利益などに著しい損害を与えたと指摘している。
(2)輸出管理コントロールリストに米国企業16社を追加
商務部は4月4日、商務部公告2025年第21号で、関連法規定に基づき、国家の安全と利益の維持および拡散防止などの国際的義務の履行のため、米国企業16社(添付資料表2参照)を「輸出管理コントロールリスト」に掲載し、これらの企業への両用品目の輸出を禁止すると発表した(即日実施、注1)。
(3)米国食品関連企業の中国への輸出資格の暫定停止
中国海関総署は4月4日、海関総署公告2025年第54号で、米国企業C&D(USA)の中国へのコーリャンの輸出資格、米国企業3社(添付資料表3参照)の中国への家禽(かきん)肉骨粉の輸出資格を暫定的に停止したと発表した(即日実施)。米国から輸入したコーリャンから基準値を超えるゼアラレノンおよびカビを検出したこと、米国産家禽肉骨粉からサルモネラ菌を検出したことに基づき措置を行ったとしている。
また、同日、海関総署公告2025年第55号で、米国企業2社(添付資料表4参照)の中国への鶏肉製品の輸出資格を暫定的に停止したと発表した(即日実施)。輸入した米国産鶏肉製品から使用禁止薬物であるニトロフラゾンが複数回検出されたことに基づき措置を行ったとしている。
(4)米国産・インド産の医療用CT管球に対するアンチダンピング調査
商務部は4月4日、商務部公告2025年第20号で、米国およびインドを原産地とする医療用CT管球に対するアンチダンピング調査の実施を発表した。調査は即日開始し、2026年4月4日までに終了する予定(注2)。調査対象期間は2024年1月1日から2024年12月31日まで、国内産業の損害調査対象期間は2022年1月1日から2024年12月31日までとしている。
(5)デュポン中国に対する独占禁止法違反調査
中国国家市場監督管理総局は4月4日、デュポン中国に対し中国の独占禁止法に違反した嫌疑で調査を開始すると発表した。
(注1)輸出管理法第18条では、国の輸出管理部門は(1)エンドユーザーおよび最終用途の管理要求に違反した場合、(2)国の安全および利益を損なう可能性がある場合、(3)管理品目がテロリズムに用いられる場合に、該当する輸入者およびエンドユーザーをコントロールリストに掲載する。輸出者はリストに掲載された輸入者やエンドユーザーと取引を行ってはならず、特別な事情で取引する必要がある場合、国の輸出管理部門への申請が必要となる。
(注2)特殊な状況となった場合は、さらに6カ月の延長が可能としている。
(亀山達也)
(中国、米国)
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