EU、エジプトに40億ユーロの財政支援へ

欧州理事会（EU首脳会議）は5月19日、エジプトに対する40億ユーロのマクロ金融支援（MFA）について欧州議会と暫定合意に至ったと発表した。資金供与は複数回に分けて行われ、IMFによる経済改革プログラム（2024年3月13日記事参照）およびEU当局とエジプト政府が追加で定める条件を履行した場合に実施される。

今回の財政支援は、2024年3月17日に締結されたEUとエジプトの戦略的・包括的パートナーシップ（2024年3月21日記事参照）の一環だ。エジプトの要請に基づき、EUは総額50億ユーロの財政支援を提案した。うち10億ユーロ分の支援は、2024/2025年度（注）の資金需要をカバーするため、2024年4月に承認された。今回合意された40億ユーロの支援は、エジプトの財政状況が悪化する中、2025年7月から2027年6月までの資金不足をカバーするとされる。

エジプト国家情報サービス（SIS）によると、エジプトの前駐EU大使でもあるバドル・アブデル・アティ外務・移民・在外エジプト人相は5月18日、財政の逼迫と地域情勢の不安定化を理由に、EUに対して40億ユーロの財政支援の早期供与を求めた。エジプト中央銀行（CBE）によれば、2024年7～9月の財政赤字は3,618億エジプト・ポンド（約1兆492億円、EGP、1EGP＝約2.9円）に上る。2025年4月に内閣が承認した2025/2026年度予算も1兆5,000億EGPの歳出超過で（2025年4月8日記事参照）、エジプト財政は今後も厳しい状況が見込まれる。

（注）エジプトの会計年度は7月始まり。

（塩川裕子）