2024年ODA実績は7.1%減、ウクライナやアフリカ向け減少、2025年も減少予測、OECD
(アフリカ、中東、欧州、米国、日本、ウクライナ)
調査部中東アフリカ課
2025年05月02日
OECDが4月16日に発表した政府開発援助(ODA)実績に関するプレスリリースによると、OECD開発援助委員会(DAC、注)メンバーの2024年の援助合計額(暫定値)は前年比7.1%減の2,121億ドルとなった。2023年は、ウクライナへの支援増加もあり過去最高額で、5年連続の増加だった(2024年4月23日記事参照)。2024年は、各国から国際機関への拠出額の減少、ウクライナへの援助の減少、難民受け入れの支出の減少などにより6年ぶりに減少に転じたという。
OECDがDAC加盟国を対象に実施した調査に基づくシミュレーションによると、2025年はODAが9~17%減少するとの予測もある。
支援先をみると、ウクライナ向けのODAは前年比16.7%減の155億ドル(ODA合計のシェア7.4%)だった。また、アフリカ向けのODAは1.0%減の420億ドルで、このうちサブサハラ・アフリカは2.0%減の360億ドルとなった。
拠出は米国が最多、日本4位
2024年の拠出国のODA実績(暫定値)では、引き続き米国(633億ドル)がシェア30%で首位、ドイツ(324億ドル)、英国(180億ドル)、日本(168億ドル)、フランス(154億ドル)の順だった。日本の外務省によると、日本のODAは円ベースでは前年比7.8%減、ドルベースでは同14.4%減となった。
OECDの報告書によると、OECDでDAC非加盟のトルコが74億ドル、イスラエルが3億2,400万ドルのODAを拠出した。また、OECD非加盟でDACの参加国(Participantステータス)では、アラブ首長国連邦(UAE)が16億ドル、クウェートが10億ドル、カタールが6億5,600万ドルとなり、中東諸国でもODAを拠出する国もある。
国内総所得(GNI)比で0.7%のODA拠出という国連目標を上回った国は、デンマーク、ルクセンブルク、ノルウェー、スウェーデンの4カ国だったという。
なお、米国は米国国際開発庁(USAID)など対外援助プログラムの実施を一時停止しており、世界銀行によると、米国の援助停止が⻑期化した場合、アフリカ諸国などHIV/AIDSやマラリアの発⽣率が高い国、国内避難⺠の多い国では⼤きな影響を受けるという(2025年1月28日記事、4月25日記事参照)。
(注)DACは、OECD加盟国(38カ国)中の31カ国にEUを加えた32メンバーが加盟。日本もOECD加盟に先立ち1964年に加盟した。
(井澤壌士)
(アフリカ、中東、欧州、米国、日本、ウクライナ)
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