政策金利27.50%を維持、インフレ鈍化を確認も慎重姿勢を継続
(ナイジェリア)
ラゴス発
2025年05月23日
ナイジェリア中央銀行(CBN)は2025年5月19~20日に金融政策委員会(MPC)を開催し、政策金利(MPR)を現行の27.50%に据え置くことを全会一致で決定した。高水準のインフレと通貨ナイラの不安定な動きに対応し、2会合連続で現行水準の維持となった。加えて、政策金利に対する非対称コリドー(+500/-100ベーシスポイント、注)、預金準備率(預金銀行:50%、商業銀行:16%)、流動性比率(LR)30%についても変更はなかった(2025年3月3日記事参照)。
ナイジェリア国家統計局(NBS)によれば、2025年4月のヘッドラインインフレ率は前年同月比で23.71%と、3月の24.23%からわずかに低下した。食品インフレ率が21.26%となり、3月の21.79%から低下し、全体的なインフレ率の抑制に貢献した。経済成長については、2024年第4四半期の実質GDP成長率が前年同期比で3.84%となり、第3四半期の3.46%から加速した。特にサービス部門は5.37%成長し、実質GDP全体の57.38%を占めた。
外貨準備高は、5月16日時点で389億ドルに達し、4月末から2.85%増加した。これは、ナイジェリアの財およびサービス輸入額の7.6カ月分に相当する。第4四半期の経常収支は11億ドルで黒字を維持したものの、第3四半期の42億1,000万ドルから73.9%減少した。
MPCは、銀行部門の健全性向上を目的とした自己資本金増強の進展を評価した。CBNは、引き続き厳格な監督を継続する方針を示した(2024年4月18日記事参照)。
またMPCは、IMFが4月に2025年の世界経済成長率を2.8%に下方修正したことや、米国の通商政策をはじめとする外部リスクを踏まえ、為替市場の安定とインフレ期待の抑制を最優先とする姿勢を明確にした。こうした状況の中、MPCは現行の政策スタンスの維持を決定した。
次回のMPC会合は2025年7月21~22日に予定されている。
(注)中銀が金利の上限と下限を定め、その範囲内で金利が推移する方法を「コリドーシステム」と呼び、プラス・マイナスの幅が異なるものを非対称コリドーと呼ぶ。1ベーシスポイント(bp)は0.01%。
(奥貴史)
(ナイジェリア)
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