中国人民銀行、ローンプライムレートを7カ月ぶりに引き下げ
(中国)
北京発
2025年05月21日
中国人民銀行(中央銀行)は5月20日、最優遇貸出金利の指標であるローンプライムレート(以下、LPR)の期間5年以上を3.60%から3.50%に、期間1年を3.10%から3.00%にそれぞれ0.10ポイント引き下げると発表した。期間5年以上および期間1年ともに、前回の2024年10月(2024年10月21日記事参照)以来7カ月ぶりの引き下げとなる(LPR推移は添付資料図1参照)。
中国人民銀行は5月7日、国務院新聞弁公室による記者会見(2025年5月9日記事参照)において、5月8日から7日物リバースレポ金利を0.10ポイント引き下げることを発表した際に、LPRも順次引き下げられることを示唆していた。
中国人民銀行が5月14日に発表した「2024年4月金融統計データ報告」では、4月末の人民元と外貨を合わせた貸出残高は269兆5,400億元(約5,390兆円、1元=約20円)で前年同月末比6.8%増となり、うち、人民元の貸出残高は265兆7,000億元で7.2%増だった。貸出残高の伸びは鈍化が依然として続いている(添付資料図2参照)。また、4月末の外貨貸出残高は5,333億ドルで前年同月比18.1%減だった。外貨貸出残高は2025年1~4月で88億ドル減少したと報告されている。なお、2024年12月末の外貨貸出残高は5,422億ドルとなり、2023年末比で1,142億ドル減少している。
5月7日の国務院新聞弁公室による記者会見では、記者からの「対外貿易依存度の高い企業に対し、貸し出しを継続して行うこと以外の措置はあるか」との問いに対し、国家金融監督管理総局の李雲澤局長は「融資協調メカニズム(注)を引き続き展開し、資金供給を増加させる。また、銀行の内部プロセスの簡略化を推進することで、融資審査の効率性を高め、各種資金需要に柔軟に対応できるようにする。さらに、融資協調メカニズムをすべての対外貿易企業に拡大し加速させる。融資すべきものについては融資を行い、融資を継続すべきものについては継続するとした、対外貿易を安定させるための各種政策の実施も銀行に働きかけている。関税の影響を受け、一時的に経営が困難になっている企業に対しては、企業ごとに的確なサポートを実施する。そのほか、輸出の安定化や、輸出から国内販売に切り替える企業への資金調達支援も強化している」と答えた。
(注)融資協調メカニズムは、2024年10月14日の国務院新聞弁公室による記者会見において、中小零細企業の資金調達難の問題解決を支援するメカニズムを設立すると発表されたものに基づく。地方当局はこれに応じて、供給と需要のバランスに鑑み、中小零細企業の資金調達と銀行融資における問題を調整し解決することを求められている。
(亀山達也)
(中国)
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