タイの第1四半期GDP成長率、前年同期比3.1%、前期から鈍化

(タイ)

バンコク発

2025年05月23日

タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)は5月19日、2025年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率が前年同期比3.1%、前期比0.7%だったと公表した(添付資料表1、2参照)。民間消費が減速する一方、財輸出、公共投資が拡大した。前期の2024年第4四半期(10~12月)の3.3%からは減速したものの、ロイターの事前予測2.9%を上回る伸びとなった。

生産項目別でみると、農業が前年同期比5.7%(前期1.1%)とプラス幅を拡大し、非農業は前期の3.6%から2.9%に減少した(添付資料表1参照)。非農業の主な牽引役はサービス業で4.2%(4.7%)だった。特に建設業(16.2%)は3期連続で2桁増の拡大を維持した。宿泊施設・食料サービス関連も前期の10.4%から低下したものの7.2%だった。製造業は0.6%(0.3%)と、4期連続でプラス成長の一方、1%未満の成長にとどまっている。

需要項目別でみると、民間消費は全ての消費分野で鈍化したことから、2.6%で、前期の3.4%から減速し、プラス成長を維持しつつも、2024年通年の4.4%を下回った(添付資料表2参照)。総固定資本形成は4.7%(前期5.1%)とやや鈍化した。公共投資が3期連続で2割超増加する一方、民間投資が4期連続で縮小している。輸出は12.3%(11.5%)と微増した。財輸出、サービス輸出がそれぞれ13.8%(8.9%)、7.0%(22.9%)で、これまで輸出の牽引役だったサービス輸出が鈍化した。

NESDC は2025年のGDP成長率予測を前回予測の2.3~3.3%(中間値2.8%)から1.3~2.3%(1.8%)に下方修正した。主な下振れ要因として、世界経済と貿易の減速、貿易保護措置の影響を受けて、2025年後半には経済成長の鈍化が見込まれることなどを挙げた。

(藤田豊)

(タイ)

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