マレーシアがデジタルコンテンツ産業を強化へ、MDECが新支援策発表

(マレーシア)

クアラルンプール発

2025年05月19日

デジタル省傘下のマレーシア・デジタルエコノミー公社(MDEC)は4月11日、同国のデジタルコンテンツ産業強化のため、ゲーム開発、アニメーション制作、メタバースビジネスの3分野を対象とした新たなインセンティブを発表した(MDECプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

ゲーム分野では、ゲーム開発環境やパートナーシップの強化を図るデジタル・ゲーム・テストベッド・プログラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを導入し、マレーシアを国際的なゲーム開発拠点として確立することを目指す。同プログラムでは、5社以上の地場ゲーム開発企業に対して、1社当たり最大70万リンギ(2,380万円、1リンギ=約34円)、総額350万リンギの資金援助を行う。

アニメーション分野では、アニメーション・ショート・チャレンジ・プログラム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが始動し、新作短編アニメーションIP(知的財産権)の創出に向けて、総額120万リンギを投入する。MDECが選抜した12人のクリエーターに対し、著名な業界関係者からのメンターシップやワークショップにより、短編アニメーションの制作を支援する。マレーシアのアニメーションを国外にアピールするため、このプログラムを通して制作されたアニメーションを世界的な大会に応募し、受賞を目指す。

メタバース分野では、ビジネス・イン・メタバース・プログラムを展開し、メタバースを活用することで企業とユーザーとのつながりを深め、仮想空間での没入型体験の実現を後押しする。企業200社に対して、1社当たり最大5,000リンギ、総額100万リンギの資金を提供し、メタバースを基盤としたマーケティング戦略の実装に充てることを促す。

政府はデジタル経済発展に向けたイニシアチブ「マレーシア・デジタル(MD)」(2022年7月8日記事参照)で、デジタルコンテンツを重点分野の1つとして掲げ、同産業のさらなる発展に取り組んでいる。MDECによると、マレーシアのデジタルコンテンツ産業は急速に成長しており、2024年末時点で1万1,000人超の雇用を創出し、2011年からの累計で収益は873億リンギ、輸出額は112億リンギに上っている。

ジェトロが5月中旬にMDECに確認したところ、このような支援策を求めていた多くの地場企業から関心が寄せられているという。また、2026年から始まる次期5カ年計画「第13次マレーシア計画」に向けて、デジタルコンテンツ産業のさらなる振興のため、税制優遇措置や官民連携によるプロジェクト実施体制の強化も計画している。MDECはクランバレー首都圏を中心に、デジタルコンテンツ産業の振興に資するイベントを開催しているが、今後は産業発展が見込めるサバ州やサラワク州、ジョホール州などでも展開していくとした。

(川本暖乃、ニザール・カイルッディン)

(マレーシア)

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