国家発展改革委員会、「中国ビジネス環境発展報告2025」を発表
(中国)
北京発
2025年05月14日
中国国家発展改革委員会は4月30日、「中国ビジネス環境発展報告2025」を発表した。報告書は、企業の設立から撤退まで、企業のライフサイクル全般に関し、2024年の中国全体のビジネス環境における各分野の施策・措置の進捗と成果をまとめたもの(注1)。総評として2024年は、外部による圧力が増大し内部の困難が増加する複雑で厳しい情勢に直面する中、市場化・法治化・国際化を実現した一流のビジネス環境を整備することで、各種経済主体に発展する余地を与えたとしている。
報告書は(1)市場参入、(2)インフラ保障、(3)経営環境、(4)紛争解決、(5)企業撤退の5部で構成され、11の政策コラムと16の地方政府の事例を用いて、2024年の中国のビジネス環境最適化に向けた取り組み状況を報告している。
(1)では外資の参入について、参入規制が合理的に削減されたとしている。外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2024年版)(2024年9月10日記事参照)の発表や付加価値電信業務(2024年4月22日記事参照)、外資独資病院(2024年9月11日記事参照)などの規制緩和の試行、越境サービス貿易ネガティブリスト(2024年4月2日記事参照)の発表などが挙げられた。報告によると、2024年の新設外商投資企業は前年比9.9%増の5万9,080社だった。
(2)ではデータの流通・利用について、ルールがさらに明確化されたとした。「データ越境移転の促進および規範化に関する規定」により、データ越境移転の安全評価の範囲を縮小したことで、評価項目の月平均受理件数と個人情報域外移転標準契約の月平均届け出件数はそれぞれ約60%、約50%減少したと報告している。
(3)では、政府調達に関して、「政府調達分野の3年行動プラン(2024年7月18日記事参照)」の発表や、外資系企業への差別的扱いの是正などを挙げ、政府調達が多元化し、透明性をさらに高めたとした。
また、知的財産権保護に関して、保護の強化により企業のイノベーションと発展をサポートしたと報告している。特許審査周期(注2)は15.5カ月に短縮され、特許審査終了の正確率(注3)は95.2%に達し、いずれも同じ審査システムで国際的に見ても高いレベルに達したと評価している。2024年の知的財産権保護に対する社会満足度は82.36ポイントに上り、2012年以降で最高を記録した。
さらに、外国人の訪中に関して、利便性がさらに向上したと報告している。ビザ免除対象国が38カ国、ビザ相互免除国が27カ国、240時間トランジットビザ免除国が54カ国となった。2024年における、ビザ免除入国の外国人は前年比2.1倍の延べ2,011万5,000人となった。
(注1)在中国日系企業などで構成する中国日本商会が2024年7月10日に発表した「中国経済と日本企業2024年白書」では、重点分野として「人的交流」「データの越境・管理」「政府調達」を挙げている(2024年7月11日記事参照)。
(注2)特許出願の実体審査の発効日から、初回の権利付与決定の日までに要する平均審査期間。
(注3)抽出検査を行った発明終了案件のうち、終了が正確だった案件が、抽出検査を行った案件の総数に占める割合。
(蔣春霞)
(中国)
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