GMカナダが生産調整を発表、シフト削減で2,000人の雇用に影響の可能性
(カナダ、米国)
トロント発
2025年05月08日
ゼネラルモーターズ(GM)カナダは5月2日、オンタリオ州オシャワ市のトラック組立工場の操業を、秋ごろまでに3交代制から2交代制へ削減する計画を発表した。1回のシフト削減で、約700人の従業員が失職するとともに、関連工場などで働く1,500~2,000人の部品サプライヤー従業員にも影響を及ぼす可能性がある。
GMは声明で、需要予測と貿易環境の変化を踏まえた変更とした上で、同工場で生産する米国輸出向けトラックの生産を削減し、カナダ市場向けのトラック製造に重点を置くと説明した。同社は2024年にカナダで15万1,000台の車両を生産し、販売台数は約30万台に上ったが、大半の車両は米国の工場から輸入されたものだった。
この発表を受け、カナダ労働組合ユニフォーはカナダ連邦政府に対し、GMの関税免税資格を直ちに見直すことを求める声明を発表した。さらには、マーク・カーニー首相に対し、カナダの雇用を守るため、同国で大量の自動車販売をしているが製造していない自動車メーカーなど、主要自動車メーカーのトップと会談し、カナダへの投資と生産に対するコミットメントを公的に再確認することも求めた。
2024年に、GMはカナダにおける販売台数・シェアでトップの自動車メーカーとなり、その勢いは2025年第1四半期も引き続いている。ユニフォーのラナ・ペーン会長は、カナダ顧客のGM製品に対する支持が過去最高を記録している中で、GMは3週間前にも電気自動車(EV)組立工場の生産を一時停止したことを指摘(2025年4月16日記事参照)。カナダ国内の時給労働者の約30%を恒久的に解雇することになるとして、「米国の関税はカナダの製造業の破壊を目的としている。GMがそれに乗って責任を放棄することは許されず、また米国がカナダをただで利用することも許されない」と非難した。
一方、ステランティスも5月1日、オンタリオ州ウィンザー市にある組立工場を5月5日から1週間閉鎖し、3,800人の従業員を一時的に解雇すると発表した。同社の広報担当者ルー・アン・ゴセリン氏は、同社は2026年モデルの発売を控えており、今回の停止は2025年モデルの生産完結に向けた調整のためと説明した。同工場は、4月7日から2週間の生産停止をしたばかりだった(2025年4月7日記事参照)。
(井口まゆ子)
(カナダ、米国)
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