ジェトロ、在日ブルガリア大使館と「ブルガリア・日本ビジネスフォーラム」開催
(ブルガリア、日本)
調査部欧州課
2025年05月23日
ジェトロは5月20日、在日ブルガリア大使館との共催で、「ブルガリア・日本ビジネスフォーラム2025」を開催し、ルメン・ラデフ大統領や、道上尚史・駐ブルガリア日本大使、マリエタ・アラバジエバ・駐日ブルガリア大使が参加した。このフォーラムでは、ブルガリアが誇る産業分野のITと人工知能(AI)、宇宙、ロボット工学、自動車工学の最前線を紹介した後、同国でビジネスを展開している日本企業による講演が行われ、同国とのビジネスに関心のある日本企業73社90人が参加した。
フォーラム会場の様子(ジェトロ撮影)
オープニングでは、ラデフ大統領とジェトロの片岡進副理事長が登壇した。両氏は日本とブルガリアの共通の価値観に根ざした長年の友好関係や、ブルガリアの豊富なIT人材に触れ、政府が強力にサポートする同国への投資の優位性について述べた。
ブルガリア・ラデフ大統領による開会あいさつ(ジェトロ撮影)
片岡副理事長は2024年10月にジェトロが主催したブルガリアへのミッション派遣(2024年10月30日記事参照)についての謝意を述べるとともに、2025年6月に再び同国にミッションを派遣すると語った。
ジェトロ・片岡副理事長による開会あいさつ(ジェトロ撮影)
続いて、道上尚史・駐ブルガリア日本大使は、日本企業がブルガリアに進出するメリットとして、ラデフ大統領をはじめとした政界の日本への力強いサポータ―の存在や、EU内最低水準の法人税率(10%)、IT・工学系に強い人材の豊富さ、同国での日本企業の活発な動きを紹介した。
道上大使(左)、バシレフ副市長(右)による基調講演(ジェトロ撮影)
首都ソフィア市の副市長イワン・バシレフ氏は、東欧のシリコンバレーを目指す同国の投資環境とビジネス機会を説明した。
この後、ブルガリアのAIBEST(Association for Innovation, Business Excellence, Services, and Technology)のイリヤ・クラステフ取締役がAIや宇宙、ロボット工学の業績を紹介し、オートモーティブクラスター・ブルガリアのリュボミール・スタニスラホフ取締役は、自動車産業での日本とブルガリアの協業による可能性について語った。さらに、同国のAI研究所のコンピュータサイエンス・人工知能・技術研究所(INSAIT、2024年4月30日記事参照)のボリスラフ・ペトロフ最高経営責任者(CEO)がブルガリアの最先端AI技術と、これまでの導入事例(トヨタ、グーグルなど)を紹介した。
ブルガリアのITとAI、宇宙、ロボット工学、自動車工学の最前線を説明するアイベスト・クラステフ氏(左)、オートモーティブクラスターブルガリア・スタニスラホフ氏(中央)、INSAIT ペトロフ氏(右)(ともにジェトロ撮影)
また、ブルガリアに既に進出している日系企業として、矢崎総業と東芝エネルギーシステムズが登壇した。矢崎総業は2007年に同国に自動車関連部品の第1工場を設立後、段階的に3工場に拡大した。同社の第1グローバル生産管理部長の岩田剛志氏は、同国の工場やローカルスタッフの声を動画で紹介し、ブルガリア人のポテンシャルの高さを強調した。東芝エネルギーシステムズは同国の揚水発電所と火力発電所を手掛けている。海外営業統括部ジェネラルマネージャーの高橋潔氏は、長期間のプロジェクトの諸問題を解決し、無事建設することができたのは、ブルガリア政府や大使館のサポートが非常に大きかったと語った。
ブルガリアにおける日系企業の成功例を語る矢崎総業・岩田氏(左)、東芝エネルギーシステムズ・高橋氏(右)(ともにジェトロ撮影)
イベント最後のネットワーキング交流会では、両国の参加者による活発な情報交換が行われた。
(岩田薫)
(ブルガリア、日本)
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