4月の物価上昇率が前月比2.8%、為替政策の影響を受けず減速へ

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2025年05月28日

アルゼンチンの国家統計センサス局(INDEC)は5月14日、4月の消費者物価指数(CPI)上昇率PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が全国平均で前月比2.8%だったと発表した。前月の3.7%から鈍化した。前年同月比(年率)の上昇率は47.3%だった(添付資料図参照)。

4月の前月比の上昇率を項目別にみると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスが1.9%で、前月の8.4%から大幅に減速した。エネルギーや公共サービスなどの価格が規制されている財・サービスも1.8%で、前月の3.2%から減速した。季節変動要因のある品目を除いたコアインフレ率は、前月の3.2%から同水準にとどまった。

前月比の上昇率を費目別にみると、平均値を上回ったのは外食・ホテルの4.1% 、娯楽・文化の4.0%、衣類・靴類の3.8%だった(添付資料表1参照)。CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)は2.9%で、特に食肉の価格が前月に続き上昇した。

政府が4月11日に発表した資本取引規制の解除(2025年4月16日記事参照)で、輸入代金の支払いを含む外貨取得の動きが加速し、通貨安を誘発して物価が押上げられる懸念があったが、予想に反して為替レートは大きく変動しなかった。4月14日の対ドル公式為替レートは1ドル=1,230ペソ。これ以降は緩やかなペソ高が続き、5月中旬からは1,160ペソ前後にとどまっている。また、4月のCPIが減速した理由として、政府が大手スーパーマーケットに対し、商品の価格を引き上げないよう強く要求したことに加えて、為替レートの動きを見て、多くの企業が価格の見直しを行い、値下げしたケースもあったためとも報じられている。5月15日付の現地紙「ペルフィル」は、季節によって価格が変動する製品や、公共サービスなどの料金の引き上げが落ち着いたためと報じた。

ジェトロが独自に調査した首都ブエノスアイレスの5月26日時点の品目別の物価をみても、牛肉や燃料など、値下げされている製品も多くみられた(添付資料表2参照)。

同日付の現地紙「インフォバエ」(電子版)によると、多くの現地エコノミストらは5月のCPI上昇率が2.0%にとどまると予測している。ルイス・カプート経済相は同日のテレビインタビューで、「インフレは予想より早く消滅する。時間の問題だ」と断言したほか、「現政権の目的は税金を下げ、規制を緩和し、競争を開放することにある。民間部門はマージンを見直し、競争しなければならない。勝ち組もあれば負け組もだてくるだろう」と述べた。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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