ミシュラン初の鉱山車両用タイヤリサイクルプラント、チリで開所
(チリ、フランス)
調査部米州課
2025年05月14日
チリ政府は5月8日、タイヤ製造大手ミシュランがチリ北部のアントファガスタ州に新設した鉱山車両用タイヤのリサイクルプラントの開所式に、ガブリエル・ボリッチ大統領が参加した様子をウェブページとX(旧Twitter)上で伝えた。
同プラントは、チリの拡大生産者責任(注1)に関する法律への対応を目的として設立された。ミシュランにとっては、同種のプラントを操業する世界で初めての事例となる。年間で2,200本ほどの鉱山車両用63インチ廃タイヤの裁断処理を行い、ゴムチップとして米国に輸送した後、ミシュランのグループ会社を通じて、タイヤや他の製品の粉末素材として再利用する。プラントの新設によって、100人超の雇用創出が見込まれており、今後は廃タイヤの処理能力を年間7,000本超まで高める計画となっている。
式典で、ボリッチ大統領はチリにとっての鉱業の重要性に触れつつ、将来に向けての課題としては、環境への負荷を減らすことによるサステナブル化の促進だとし、ミシュランに歓迎の意を示した。
チリの拡大生産者責任の歩み
拡大生産者責任に関する法律がチリで初めて施行されたのは、2016年にさかのぼる。同法では、生産者が優先的に再利用、リサイクルを行うべき対象として、「潤滑油」「電池」「家電・電化製品」「バッテリー」「(使い捨て)容器・梱包(こんぽう)材」「タイヤ」の6つのカテゴリーを定めた。その中で最も取り組みが先行した「タイヤ」については、2021年1月に二次法が公布され、生産者に課する目標や義務を規定した。ミシュランはこの直後の2021年2月に、アントファガスタ州でのタイヤリサイクルプラントの建設プロジェクトを発表していたため(2021年5月17日付地域・分析レポート参照、注2)、以前からその動向については注目が集まっていた。
(注1)製品に対して生産者が負うべき責任の範囲をその製品の廃棄やリサイクルの工程まで拡大し、費用負担などを求めるべきという考え方。
(注2)当初の発表では、2023年初めの稼働開始が予定されていた。
(佐藤竣平)
(チリ、フランス)
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