英政府機関、クリーンエネルギー導入促進へ系統接続ルール見直しを決定
(英国)
調査部欧州課
2025年04月25日
英国政府機関のガス・電力市場局(Ofgem、エネルギー部門の規制機関)は4月15日、系統接続ルールの見直しを決定したと発表した。具体的には、エネルギー・システム・オペレーター(NESO、電力システム監督機関)がOfgemに申請していたターゲット・モデルオプション4と呼ばれる系統接続ルール見直しパッケージの最終版(TMO4+)をOfgemが承認する。英国政府は「変化に向けた計画(Plan for Change)」(2024年12月6日記事参照)で、2030年までに電力の最低でも95%をクリーンエネルギーとすることを掲げており、その達成に向けた道筋を示す「クリーンパワー2030アクションプラン(CP2030 Action Plan)
」では、抜本的な系統接続ルールの見直しが急務だとしていた。
TMO4+のキーコンセプトは「準備(Ready)」と「必要性(Needed)」の2つの基準を満たすプロジェクトをゲート2と位置付け、いずれか一方でも満たさないゲート1のプロジェクトより優先的に送電網に接続することだ。「準備」基準では原則として、土地の権利を取得、証明、維持し、定められた期間内に計画を十分に進展させることが求められる。「必要性」基準では原則として、「クリーンパワー2030アクションプラン」に記載している発電方法ごとの容量に整合することが求められるが、発電や蓄電を伴わない需要のみのプロジェクトならば、自動的に必要性基準を満たすとみなされる。なお、この見直しは送電網に接続されるプロジェクトを対象とし、配電網に接続されるプロジェクトは、送電網への影響評価を要する大規模な発電設備や蓄電池を除いて、対象外だ。ただし、Ofgemは2030年の目標達成とそれに続く2050年までのネットゼロのために、配電事業者に対してTMO4+に対応した配電網のプロセス実施を期待するとしている。
Ofgemは見直しによって効率的なネットワークの計画、構築、接続が実現し、数百億ポンドのネットワーク構築投資が節約されるとしている。また、新規参入者がどのような技術に投資し、どこに発電設備を立地すべきかについて、より明確なシグナルを得られるとともに、投資家が必要なプロジェクトに資源を集中させることができるようになり、早期の系統接続が可能となることで、経済成長に貢献するとしている。
(齊藤圭)
(英国)
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