ドイツ政府、秋季予測から下方修正、2025年ゼロ成長と予測
(ドイツ)
ベルリン発
2025年05月01日
ドイツ連邦経済・気候保護省は4月24日、春季経済予測を発表した(プレスリリース、ドイツ語、添付資料表参照)。前回2024年10月の秋期経済予測で1.1%と予測し、2025年1月には0.3%と0.8ポイント下方修正した2025年の実質GDP成長率は、さらに修正し、ゼロ成長の見通しだ。また、秋に1.6%と予測していた2026年の成長率も、1.0%に下方修正した(2024年10月17日記事、2025年2月18日記事参照)。ドイツ経済は、2023年の実質GDP成長率がマイナス0.3%、2024年がマイナス0.2%と低迷しており、2025年もその傾向に歯止めがかからなければ、同統計が発表されている1950年以降で初の3年連続マイナス成長となる可能性がある。4月22日に発表されたIMFの「世界経済見通し」の成長率予測でも、ドイツの2025年の経済成長率は0.0%と見込まれ、G7メンバーではドイツの経済成長率が最低だ。
ロベルト・ハーベック経済・気候保護相は2025年の経済成長率を下方修正した理由として、貿易国ドイツが外需の低迷と競争力低下に加え、米国の保護主義的関税政策による負の影響にさらされていることを挙げた。その影響は雇用にも及び、2025年の失業率は前年の6.0%から0.3ポイント上がることが見込まれている。ただし、インフレ率は2.2%から2.0%へ、2026年は1.9%へと収束する兆しを見せている。米国の関税措置の影響によって中国が追加関税の対象製品をドイツなど他国への輸出に切り替える場合も、インフレ抑制要因となる可能性があるとした。
2025年3月に上下両院で可決された拡張的な財政政策(2025年3月24日記事参照)について、同大臣は、投資とイノベーションに対する資金供給の枠組みは整備されたが、資金だけでドイツが直面する問題を解決することはできず、次期政権(2025年4月11日記事参照)の改革いかんで、ドイツ経済の先行きが決まると語った。
(打越花子)
(ドイツ)
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