オンタリオ州、カナダ初の小型モジュール炉の建設開始を許可
(カナダ)
トロント発
2025年05月14日
カナダ・オンタリオ州エネルギー鉱山省は5月8日、電力公社のオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)が申請していたダーリントン原子力発電所プロジェクト(DNNP)の4基の次世代小型モジュール炉(SMR)の建設計画のうちの、最初の1基の着工を承認したと発表した。
OPGの事業計画は、既存のダーリントン原子力発電所の敷地内に、最大4基の新しい原子炉を建設するもので、敷地準備や建設、運転、廃止措置作業などが含まれている。2029年末までに建設を完了し、2030年に送電網に接続する予定で、完成すればG7諸国で初のSMRとなる見込みだ。
オンタリオ州のスティーブン・レチェ エネルギー鉱山相は、オンタリオ州の電力需要は2050年までに少なくとも75%増加すると見込まれていることから、SMR建設が今後数十年にわたって電力供給の安定確保に貢献すると説明した。全てのSMRが稼働することで、120万世帯相当に対し、環境に配慮した手頃な価格で、1,200メガワット(MW)の電力を安定して供給できるだけでなく、稼働65年間で毎年約3,700人の雇用を維持することが可能になるという。これまでの用地整備の準備や、エンジニアリングと設計作業を含む4基のSMR 建設費は61億カナダ・ドル(約6,466億円、Cドル、1Cドル=約106円)で、システムとサービスまで含めた総事業費は209億Cドルが見込まれている。
OPGは2021年12月に、日立製作所とゼネラル・エレクトリック(GE)ベルノバの原子力事業合弁会社「日立GEベルノバニュークリアエナジー(GEH)」(注)製SMRを導入することを発表しており(2021年12月9日記事参照)、「BWRX-300」と呼ばれる小型軽水炉を設置する。
(注)日立GEニュークリア・エナジーは2025年6月1日、商号を日立GEベルノバニュークリアエナジーに変更する。
(井口まゆ子)
(カナダ)
ビジネス短信 587f9da7e0a1a584