カナダ・オンタリオ州電力公社、GE日立製小型原子炉を導入

(カナダ、日本)

トロント発

2021年12月09日

カナダ・オンタリオ州営の電力公社オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)は12月2日、日立製作所とゼネラル・エレクトリック(GE)の原子力事業合弁会社のGE日立ニュークリア・エナジーと共同で、カナダで唯一新たな原子力発電所建設の認可を受けているダーリントン新規原子力発電所へ小型モジュール炉(SMR)を導入すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。カナダでの商用SMR導入は初めてで、2022年末に建設許可を申請後、早ければ2028年に完成予定。発注額は明らかにされていないが、報道によると、最大30億カナダ・ドル(約2700億円、Cドル、1Cドル=約90円)程度になるとみられている(「グローブ・アンド・メール」紙12月2日)。OPGによると、300メガワットのSMR1基で約30万世帯分の発電ができるほか、年間30万~200万トンの炭素排出を削減できるという。

連邦政府はSMRを温室効果ガス(GHG)排出削減の有力手段と位置付けて、2020年12月にアクションプランを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしており、今回の発表もその一環だ。

オンタリオ州のトッド・スミス・エネルギー相は発表を受け、「オンタリオ州は、本日の発表を契機としてSMRのような新しい原子力技術でリードしていくことになり、これは州とカナダ全体にとって経済的・環境的に大きなチャンスとなる。SMRは信頼性が高く、GHG排出のないエネルギーを提供すると同時に、雇用、経済成長、輸出機会を生み出すことが可能だ。この技術のリーダーとなり、オンタリオ州の原子力に関する専門知識を世界にアピールする機会が今まさに訪れている」とコメントした。

一方、環境保護団体グリーンピースは、SMRの建設はよりクリーンで安全な風力発電や太陽光発電よりもコストが高くなると警告している。さらに、オンタリオ州議会の野党、緑の党のマイク・シュレイナー党首は「ダーリントンへの大型SMR建設は、電力の高コスト化につながり、全く意味がない。小型原子炉は遠隔地や製鉄などの特殊なもののために設計されたもので、既存の環境アセスメントが終了しているというだけの理由で、与党は同地へ建設を計画している」と述べ、「彼らは楽な道を選んでいるのであって、正しい道ではない」と批判した(「トロント・スター」紙12月1日)。

(飯田洋子)

(カナダ、日本)

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