4月の貿易赤字は264億2,000万ドルに拡大、原油・電子製品の輸入増加
(インド)
ムンバイ発
2025年05月19日
インド商工省(MoCI)が5月15日に発表した「貿易統計(速報値)」によると、4月の貿易収支は約264億2,000万ドルの赤字だった(添付資料図参照)。エンジニアリング製品などの輸出は伸びたものの、原油や電子製品などの輸入増加に伴い、貿易赤字は約215億4,000万ドルだった3月から拡大した。輸出額(サービスを除く)は384億8,774万ドルで、前年同月比9.0%増加、輸入額は649億1,216万ドルで同19.1%増加した。
輸出額の内訳を見ると、金額の大きいエンジニアリング製品95億1,146万ドル(前年同月比11.3%増)、石油製品73億7,450万ドル(4.7%増)、電子製品36億9,181万ドル(39.5%増)、宝石類25億29万ドル(10.7%増)、医薬品24億8,600万ドル(2.4%増)などが増加した。一方で、有機・無機化学製品22億6,549万ドル(9.1%減)などは減少した。
輸入に関しては、輸入額全体の約3割を占める石油製品・原油が207億1,557万ドルで、前年同月比25.6%増加したほか、電子製品92億5,079万ドル(31.2%増)、電気・一般機械46億7,089万ドル(23.2%増)、金30億9,709万ドル(4.9%増)、有機・無機化学製品24億4,583万ドル(10.9%増)などが増加した。一方で、石炭・コークスなど27億1,007万ドル(12.3%減)、輸送機器25億9,691万ドル(3.2%減)などは減少した。
MoCI傘下の機械輸出促進機構(EEPC)会長のパンカジ・チャダ氏は「最近締結された英国との自由貿易協定(FTA)は、インドからのエンジニアリング製品の輸出を後押しするだろう。また、米国との2国間貿易協定(BTA)の締結が間近に迫っており、これがインドからの輸出を大きく牽引することになろう」として、今後の輸出増加への期待を述べた(「デカンヘラルド」紙5月16日)。
インド政府は5月6日、英国との間でFTA締結に合意したほか(2025年5月7日記事参照)、米国による相互関税措置の発表(注)を受け、米国との間で貿易協定締結に向けた交渉が続けられている。
(注)米国は4月5日から全世界に一律10%のベースライン関税を導入し、4月9日以降はインドには合計26%の相互関税を適用すると発表した。しかし、4月9日に相互関税発効まで90日間の猶予期間を設けることが発表され、現在ではベースライン関税の10%のみが適用されている。
(篠田正大)
(インド)
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