インドが米国の追加関税への対抗措置提示、WTOに通達
(インド、米国)
調査部アジア大洋州課
2025年05月26日
インド政府は5月9日、WTOに対して、米国による鉄鋼・アルミニウム製品を対象にした追加関税(2025年3月12日記事参照)はセーフガード(緊急輸入制限)措置に当たると通報した。また、当該措置はインドの貿易に有害な影響を与えるとし、WTOセーフガード協定8条で定められる対抗措置(注)として、米国原産品に対する輸入関税の引き上げを提示した。WTOが5月12日に発表した。
インド政府はこの通報で、今回の米国による追加関税措置は1994年GATT(関税及び貿易に関する一般協定)やWTOセーフガード協定と矛盾しており、WTOセーフガード協定12条3項に定めたコンサルテーションが実施されていないと指摘している。
対抗措置によって輸入関税引き上げの対象となる具体的な品目や関税率は、同通達内では公表されていない。しかし、米国の追加関税措置により、米国のインドからの輸入品76億ドル分が影響を受け、米国側は19億1,000万ドルの税収を得ることが見込まれるとして、インドの対抗措置はそれと同程度の税収を米国原産品からインドが得られるようなものとするとした。
なお、インドのピユシュ・ゴヤル商工相は5月17~20日に、米国との2国間貿易協定(BTA、2025年4月25日記事参照)の交渉のため、米首都ワシントンを訪れていた。ゴヤル商工相は20日、自身のX(旧Twitter)で、交渉は順調に進んでいると前向きな姿勢を示した。
ゴヤル商工相(右)のX(旧Twitter)への投稿
(注)譲許の適用停止、または課税価格以下(従価税率換算100%以下)の関税を課すこと。
(深津佑野)
(インド、米国)
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