米国がアフリカ外交戦略の6大方針を発表

(アフリカ、米国、コートジボワール)

アビジャン発

2025年05月21日

コートジボワールのアビジャンで5月14日、米国政府と西アフリカの米国商工会議所(AmCham)の共催による「AmCham Business Summit 2025」が開催され、米国務省のトロイ・フィトレル・アフリカ担当次官補が米国アフリカ外交戦略の6大方針を発表した。

同イベントでフィトレル次官補は、2050年までにアフリカは25億人市場に拡大し、購買力が16兆ドルを超えると予測し、米国の3大貿易相手国のカナダ、中国、メキシコの経済規模に匹敵すると指摘した上で、「アフリカは米国最大の貿易相手の1つであるべきだが、現状は米国のサブサハラ向け輸出は全体の1%未満にすぎない」と述べた。また、米国がこれまでアフリカで商業的関与より開発援助を優先してきたことを振り返り、中国やロシアの名前を挙げつつ、これら競争相手と効果的に競争ができていない現状を訴えた。

こうした認識の下、フィトレル次官補は、米国はアフリカを商業パートナーと位置付け、米国企業がビジネスを行いたい国、またはビジネスを行うべき国に優先して外交的関与を行うとして、次の6大方針を明らかにした。この方針は2025年後半に開催される米国・アフリカ首脳会議までに実行が期待されるべきものとしている。

(1)商業外交への方針転換

米国のアフリカ政策を援助中心から商業中心に転換する。全ての駐アフリカ米国大使は、米国企業のビジネス創出と促進の成果実績をもって評価する。なお、この方針の下、トランプ政権は発足後100日で33件、60億ドル相当のビジネスを成立させたという。

(2)アフリカ優先国での市場改革

優先国に指定した現地政府と協力して、ビジネス上の制度障壁を洗い出し、その上位5分野で市場改革を促し、米国企業の事業展開を促進する。

(3)アフリカ優先国でのインフラ投資推進

優先国で商業的に実行可能、持続可能、かつ高品質なインフラの構築を追求する。また、見栄えだけ良いプロジェクトや中国政府が建設したインフラは支援しない。

(4)商業外交ミッションの積極展開

米国務省主導で、ビジネス環境が良好な国、市場改革に積極的な国を対象とした貿易・投資ビジネスミッションを多数派遣する。

(5)アフリカ未開拓の米国企業への重点支援

米国内の輸出関連企業約30万社と米国資本120兆ドルをアフリカ市場に接続する。

(6)米国の貿易投資支援制度の改革

米国企業のビジネス展開をより効果的に支援するため、貿易促進措置やプロジェクトの早期形成支援、リスクの高いプロジェクト向けの資金調達ツール開発など制度改革を行う。

(水野大輔)

(アフリカ、米国、コートジボワール)

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