米ロサンゼルス市、映像産業支援に向けた行政命令発令
(米国)
ロサンゼルス発
2025年05月23日
米国カリフォルニア州ロサンゼルス市のカレン・バス市長(民主党)は5月20日、映画、テレビ番組、コマーシャルの撮影を容易にし、地元の映像、テレビ業界の雇用を支援するための行政命令を発令した。
ロサンゼルスではハリウッドを中心に、長年にわたってエンターテインメント産業が地域経済を支えてきたが、他州や他国との競争激化に直面している。こうした中で撮影にかかる手数料を引き下げ、行政手続きを簡素化するとともに、ロケ地へのアクセスを向上させることで、同市内での映像制作を促進する。
行政命令では、市の各部署に対して、映画・テレビ業界に関する規制を撤廃し、手続きを合理化することとしている。例えば、観光地のグリフィス天文台では、撮影にかかる料金を2022年の料金引き上げ前の水準まで引き下げるとともに、撮影に使用できる日数の増加を検討する。そのほか、撮影のための審査期間の短縮や、現場監視のための行政スタッフ数の削減を実施する。
また、バス市長はカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)とともに、2024年10月に同州で撮影する映画・テレビ番組の制作者に対する税額控除について、年間3億3,000万ドルから7億5,000万ドルに2倍以上に引き上げる提案を発表しており、映画製作会社を誘致するインセンティブを提供している他の州や国・地域に対する競争力を高めるためにも、同提案を州議会で可決するようあらためて訴えた。
映像産業を巡っては、ドナルド・トランプ大統領が米国外で製作された映画に100%の関税を課すことを示唆しているが(2025年5月7日記事参照)、ロサンゼルスでは現地での撮影を積極的に支援することで、世界のエンターテインメント産業の中心地であり続けることを目指している。
(堀永卓弘)
(米国)
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