第1四半期の輸出額は前年同期比1割増、中国本土とベトナム向けが好調

(香港、中国)

香港発

2025年05月12日

香港特別行政区政府統計処が4月28日に公表した貿易統計によると、2025年第1四半期(1~3月)の輸出総額は前年同期比10.9%増の1兆1,710億香港ドル(約22兆2,490億円、1香港ドル=約19円)となった。主要国・地域別に輸出の動向をみると、最大の輸出先の中国本土が前年同期比16.2%増、ベトナム(69.1%増)、台湾(40.6%増)と2桁台の伸びを示した。

香港の輸出総額のうち、中国本土向けの割合は約6割を占めることから、香港の貿易は中国経済の影響を大きく受ける構造となっている。中国国家統計局は4月16日、2025年第1四半期の主要経済指標を発表した。中国本土の実質GDP成長率(前年同期比)は5.4%と、経済状況は好調なスタートを切ったと評価していた(2025年4月22日記事参照)。うち省・直轄市の中では、湖北省が6.3%と最も高い成長率を記録した(2025年5月8日記事参照)。

なお、湖北省との間では、香港政府機関として外資系企業誘致などを行う香港投資推進局(インベスト香港)の劉凱旋(アルファ・ラウ)局長が2月26日、同省武漢市で同省商務庁の龍小紅庁長と会談し、香港と湖北省間の物流を強化し、イノベーションテクノロジーや、金融、貿易などの分野の協力の方向性を明確にした(「香港商報」2月28日)。

このほか、中国本土とのヒト・モノの往来活発化に関連した動きとして、香港を拠点とするキャセイパシフィック航空は3月27日付で、姉妹航空会社のHKエクスプレスとともに、2025年夏季に香港と中国本土間の直行便の増便計画を明らかにしている。増便対象となるのは、北京市、上海市などの沿岸部のほか、鄭州市(河北省)、重慶市、武漢市などの内陸都市も含まれ、前年比で約40%増の週300便(往復)近くになる。

他方、香港樹仁大学の経済金融部門の李樹甘(リー・シュウカム)部門長によると、「米国が始めた関税戦争の影響は第2四半期(4~6月)から現れ始める。新たな輸出市場を開拓できなければ、香港経済は打撃を受けるだろう」との見解を示した(「サウスチャイナ・モーニングポスト」4月28日)。

(松浦広子)

(香港、中国)

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