米連邦議会下院、カリフォルニア州のZEV販売義務無効化の決議案を可決
(米国)
ニューヨーク発
2025年05月07日
米国連邦議会下院は5月1日、カリフォルニア州におけるゼロエミッション車(ZEV、注)の販売義務を無効化する共同決議案(H.J.Res88)を可決した(2025年2月19日記事参照)。同決議案は4月2日に、ジョン・ジョイス下院議員(ペンシルベニア州、共和党)を発起人として提出され、41人が共同提出者として名を連ねている。
対象となるのは、カリフォルニア州が2022年に策定した、アドバンスド・クリーンカーII (ACC II)規制で、2035年までに新車販売の100%をZEVとする方針を掲げている。これにはニューヨーク州など11州とコロンビア特別区も追随しており、販売台数では全米自動車市場の約4割をカバーしている(2025年1月15日記事参照)。今回の決議案可決に先駆けて、下院は4月30日、同州が定める大型車を対象とした「アドバンスド・クリーントラック規制(H.J. Res. 87)」と「オムニバス窒素酸化物(NOx)規制(H.J. Res. 89
)」に関しても、同様に無効化を可決していた。
今回の決議案は、連邦議会が、行政機関が定めた「規則」を一定期間内に審査し、両院で単純多数の賛成により取り消すことができる「議会審査法(CRA)」に基づき提出されたもの(2024年5月30日付地域・分析レポート参照)。共和党議員を中心に、ZEV販売の義務化が「消費者の選択肢を制限し、イノベーションを阻害する」「自らに合う車を選ぶべきなのは米国民であり、カリフォルニア州の官僚ではない」などとして、連邦政府による是正を求めていた。また、市場における実需との乖離を理由に、自動車業界からも撤廃を求める声が上がっている(2025年5月1日記事参照)。ACCIIを採用する11州の1つであるメリーランド州が、目標値未達に対する罰則の緩和を導入するなど、採用州の間でも対応が見直されている。
決議案が今後、上院で可決されるかは不透明だ。さらに可決された場合でも、ACCIIの適用免除の承認が、CRAの対象である「規則」に当たるのか、などをめぐり裁判で争われる可能性もあり、注視が必要だ。
(注)クリーンビークル(CV)と同義。対象となる車種は、バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)。
(大原典子)
(米国)
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