フーシ派のイスラエル空港攻撃にイスラエルが報復、米国とフーシ派は停戦合意
(イスラエル、イエメン、パレスチナ、米国、オマーン)
テルアビブ発
2025年05月07日
イエメンの反政府組織フーシ派は5月4日、イスラエルに向けてミサイルを発射し、テルアビブ近郊のベングリオン国際空港近くに着弾した。フーシ派はテレグラムで声明を発表し、「ミサイル部隊はベングリオン空港を標的とした極超音速弾道ミサイルによる軍事作戦を実施し、目標に命中した」とし、「全ての国際航空会社に対し、同空港への飛行を継続しないよう警告する」と述べた。「タイムズ・オブ・イスラエル」紙電子版(5月4日)によると、この攻撃によりイスラエルの空域は約1時間閉鎖されたが、その後、同空港は稼働を再開したという。ただ、複数の航空会社がテルアビブ発着便の欠航を決めており、各航空会社によると、ルフトハンザグループのオーストリア航空、ルフトハンザドイツ航空、スイス・インターナショナル・エアラインズなどは5月11日まで、エールフランスは13日まで、ユナイテッド航空やブリティッシュ・エアウェイズは14日まで、デルタ航空は19日までそれぞれ欠航となっている。
イスラエル国防軍(IDF)は5月5日、イエメンのフーシ派の拠点に空爆を実施したと発表した。IDFによると、戦闘機20機により50発の爆弾を投下し、イエメン西部のホデイダ港やホデイダ東部にあるコンクリート工場などを爆撃した。IDFは、同港はイランの武器や軍事用装備などの移送に使われており、同工場はフーシ派の資金源となっており、トンネルや軍事インフラの建設に使用されていたと主張した。
IDFは翌5月6日に、イエメンの首都サヌアの空港や発電所、コンクリート工場を爆撃したと発表した。IDFは、同空港は武器や戦闘員の輸送に利用され、発電所はフーシ派の重要な電力供給インフラとして機能していたと主張した。
米軍は3月15日からフーシ派に対して軍事行動を継続していたが(2025年3月17日記事参照)、米国のドナルド・トランプ大統領は5月6日、記者団に対し、「フーシ派はこれ以上戦いたくないと表明し、今後船舶を爆破しないと言っている」と述べ、「私は彼らの申し出を受け入れ、フーシ派への空爆を直ちに中止する」と表明した。オマーン外務省は同日、米国およびフーシ派と緊張緩和を目的とした協議や接触を行った結果、「両者間の停戦合意に至った」との声明を発表した。なお、「タイムズ・オブ・イスラエル」紙電子版(5月6日)によると、フーシ派最高政治評議会のマハディ・アル・マシャト議長は、ガザを支援するために攻撃を続けると述べたとしている。
イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。
(中溝丘)
(イスラエル、イエメン、パレスチナ、米国、オマーン)
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