ウィトコフ米特使がガザ停戦延長提案、トランプ大統領はフーシ派攻撃を命令

(イスラエル、パレスチナ、米国、イエメン、イラン)

テルアビブ発

2025年03月17日

パレスチナ自治区ガザ地区でのイスラエルとハマスの停戦をめぐり、米国のスティーブ・ウィトコフ中東担当特使と米国家安全保障会議(NSC)は314日に共同声明を発表した。発表によると、ウィトコフ特使らが312日に、イスラム教の断食月(ラマダン)とユダヤ教の過ぎ越しの祭り(パスオーバー)が終わる420日まで、50日間停戦を延長する「つなぎ案」を提示したことを明らかにした(ロイター314日)。

写真 イスラエル国防軍本部前でテントに泊まり込んで人質解放を訴える支援者(ジェトロ撮影)

イスラエル国防軍本部前でテントに泊まり込んで人質解放を訴える支援者(ジェトロ撮影)

AP通信(315日)によると、ハマスは米国籍をもつイスラエル軍兵士1人と4人の遺体の返還を発表したが、「エルサレム・ポスト」紙電子版(314日)によると、ウィトコフ特使らは共同声明で、「ハマスはもはや停戦と人質取引で時間稼ぎをすることはできない」と警告したという。

ウィトコフ特使は316日の米CNNのインタビューで、「ハマスの提案は見込みがない」とし、「5人のイスラエル人の人質と引き換えにイスラエルの刑務所に収容されている相当数のパレスチナ人の解放を提案したが、ハマスから受け入れがたい返答があった」と述べた。その上で、「(ハマスには)機会があるが、その機会は急速に閉ざされつつある」と指摘し、米国が315日から開始したイエメンの武装組織フーシ派に対する大規模攻撃を挙げて、「それがテロリズムに対するわれわれの立ち位置と、テロ行為に対するわれわれの許容レベルを示すものだ」と主張した。

イスラエル首相府外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は315日夕刻に、停戦交渉団や治安当局責任者と人質問題について討議を行った。同首相は交渉団に対し、生存している人質11人の解放と死亡した人質の半数の遺体の返還を求めるウィトコフ特使の提案に従い、協議継続の準備をするよう指示したという。

米国のドナルド・トランプ大統領は315日、自身のSNSトゥルース・ソーシャルへの投稿で、米軍に対し「イエメンのフーシ派に対する断固とした強力な軍事行動を開始するよう命じた」と明らかにした。トランプ大統領は「フーシ派による米艦船への攻撃は容認できず、目的を達成するまで、圧倒的な殺傷力を行使する」と述べた。また、トランプ大統領はイランに対し、「フーシ派への支援は即刻やめるべきだ」と警告した。

画像 フーシ派に対する軍事行動開始命令に関するトランプ大統領のトゥルース・ソーシャルでのコメント画面

フーシ派に対する軍事行動開始命令に関するトランプ大統領のトゥルース・ソーシャルでのコメント画面

フーシ派は3月11日、紅海やアラビア海などを通過するイスラエル船籍への攻撃を再開すると表明していた(ロイター3月12日)。

イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。

(中溝丘、アリエル・マロム)

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