シリア暫定政権が暫定憲法制定、経済復興には遠い道のり

(シリア)

カイロ発

2025年03月18日

シリア国営メディア(Syrian Arab News Agency、SANA)は3月13日、暫定政府のアハマド・シャラア大統領が暫定憲法草案に署名した、と報じた。2024年12月のアサド政権崩壊(2024年12月10日記事参照)以降、シリアでは旧反体制派を中心とする暫定政権が発足、欧州や中東など20カ国が支持している。暫定憲法では、正式な政府の発足までの移行期間を5年と定め、人民議会が立法権、大統領および閣僚が行政権を担い、裁判権は独立すると規定する。また、表現・出版・報道の自由、財産権、女性の教育・労働・政治参加の権利の保障が明記された。

シリアの政治的混乱が同国経済に与えた影響は甚大だ。2025年2月の国連開発計画(UNDP)の報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、2011年の紛争開始以降のGDP損失は8,000億ドルと推定される。現在のGDP成長率(1.3%)が維持された場合、紛争前の経済規模に回復するには2080年までかかり、今後15年で復興を達成するには少なくとも年間5%の成長が、紛争がなかった場合の成長シナリオに追いつくためには年間14%の成長が必要だという。貧困率は紛争前の33%から90%に上昇しており、経済復興は喫緊の課題だ。エネルギー生産は80%減少し、送電網や上下水道などインフラも甚大な被害を受けており、開発支援が必要とされている。

(塩川裕子)

(シリア)

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