日本酒イベント「Sake@」が北京で開催、主催者が中国市場での日本酒動向を紹介、「ミャクミャク」も来場
(中国)
北京発
2025年05月30日
第6回Sake@清酒文化節が5月24~25日、中国・北京市内のホテルで開催された。500SKU(注)の日本産および中国産の清酒などが出品され、4,300人以上が来場した。
イベント中に、主催者の北京深寮文化産業が「2024年中国清酒市場発展白書」セミナーを開催し、2024年の中国酒類市場を振り返り、今後の清酒市場拡大に向けた展望を語った。
同白書メイン執筆者で、経済領域や酒業界専門の記者の富充氏は、2024年の中国酒類市場について、高級白酒の価格下落だけでなく、プチぜいたく品の消費も落ち込んでおり、酒類消費が全体として低迷する一方、興味や体験を重視する若年層を中心に、「悦己(自身の満足)」消費(2024年3月14日付地域・分析レポート参照)が拡大し、画一的な工業製品ではなく、個性ある商品に関心が集まっている。日本酒はこうしたニーズに応え得るニッチカテゴリーとして一定の市場基盤を維持している。また、中国本土における日本酒のリットル単価は世界第2位と、高品質志向が定着しつつあると分析した。
同じく白書の執筆者である深寮文化産業の周卉総経理は、Sake@独自に実施した8,000人規模の日本酒消費者調査を紹介した。調査結果によると、日本酒消費者は26~45歳の比較的高所得層に集中しており、飲酒量が前年比同程度または増加したとの回答者の割合は7割強、月間酒類消費額は1,000~2,000元(約2万~4万円、1元=約20円)に集中している。単価4,000~8,000円の日本酒が売れ筋で、果実の香りやコメの旨味(うまみ)を好む傾向がある。飲酒理由の上位3位は「少し飲むのが楽しい」「社交ツールとして」「日本酒を分かるようになるため」で、自宅やイベントでの飲用が多く、EC(電子商取引)やプライベートコミュニティー経由の購入が増加している。知識習得よりも体験や交流を重視する志向が強まっていると解説した。
周氏は、今後の清酒消費の拡大・発展には、伝統的な宴会文化の衰退や若年層の価値観変化に注目し、品質に加えストーリー性や安心感、趣味としての魅力をアピールする工夫が必要だと強調し、成功するには日本酒をライフスタイルとして認識させ、継続的な関与、他分野と中国文化とのコラボ、リアルな接点と共感を生む提案が不可欠で、消費者の深層ニーズに応え、より広い層への訴求と市場拡大を目指すことを提案した。
またSake@の会場では、2025年日本国際博覧会協会が大阪・関西万博のプロモーションを行い、公式キャラクターの「ミャクミャク」が登場し、来場者と記念写真を撮るなどして交流した。
2025年中国清酒市場発展セミナー講師の周卉総経理(左)と富充記者(右)(ジェトロ撮影)
Sake@に登場したミャクミャク(ジェトロ撮影)
Sake@会場(ジェトロ撮影)
(注)SKUは、Stock Keeping Unitの略で、受発注や在庫管理を行う際の最小単位。
(王瑩)
(中国)
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