国産化率(TKDN)に係る改正大統領令が公布、政府調達義務の要件を変更
(インドネシア)
ジャカルタ発
2025年05月13日
インドネシア政府は4月30日、政府調達に係る大統領令2025年第46号を公布し、即日施行した。本法令は政府調達に係る大統領令2008年16号の2回目の改正令にあたり、政府調達における国産品調達義務の条件を定め直したものだ。
具体的な変更点として、これまでの基準より低い国産化率しか付与されていない物品でも政府調達への参入が可能となった。これまでは原則、国産化率(TKDN)と企業貢献指数(BMP)の合計値が40%以上の物品から調達することとされ、40%以上を満たす物品が存在しない場合、またはその国内生産量が需要を満たせない場合は、輸入品の調達が可能となると定められていた。
インドネシア工業省の国産品利用向上(P3DN)センター認証担当調整官のリナルディ氏に確認したところ、改正後の法令では、政府調達を行う際には次の基準で判断が行われる。
〇基準1.国産化率(TKDN)と企業貢献指数(BMP)の合計値が40%以上の物品から調達する。
〇基準2.基準1に該当する物品が存在しない、または数量が需要に満たない場合、TKDNが25%以上の物品を調達する。
(基準1、2に該当する物品が存在しない場合)
〇基準3.TKDNが25%未満の物品を調達する。
(基準1、2、3に該当する物品が存在しない場合)
〇基準4.国家工業情報システム(SIINAS:Sistem Informasi Industri Nasional)に登録されている国産品を調達する。
輸入品の調達は、基準1~4のいずれにも該当しない場合にのみ、許可されることとなる。
今回の改正で、外資企業を含むより多くの国内事業者が、政府調達へ参入しやすくなる効果があるとみられる。米国の相互関税に対する両国間の交渉では、規制緩和によるビジネス環境改善が交渉の柱の1つとなっており、今回の改正もその一環とみられる(2025年5月1日記事参照)。加えて、政府の説明によれば、国内ビジネスの強化を目的として実施されたものでもあるという。アグス・グミワン工業相は「TKDNに関する制度変更は、2025年2月上旬から議論されてきており、米国の相互関税政策への対応だけを目的に実施しているものではない」と述べた(5月6日「コンタン」紙)。アイルランガ・ハルタルト経済担当調整相も同様に、「TKDNに関する制度変更は、ビジネス環境整備と国内ビジネスの競争力向上を目的に行なったものだ」と述べた(5月6日「リプタン6」紙)。
(中村一平、中沢稔)
(インドネシア)
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