IMF金融支援の第4回審査がスタッフレベルで合意、マクロ経済改革の進捗を評価
(スリランカ)
調査部アジア大洋州課
2025年05月13日
IMFは4月25日、スリランカへの金融支援パッケージ〔拡大信用供与(EFF)プログラム、4年間で総額22億8,600万SDR(約30億ドル、注)〕の第4回審査について、スタッフレベルで合意に達したと発表した。本審査が理事会で承認されれば、追加で2億5,400万SDR(約3億4,400万ドル)が拠出される。
スタッフレベルでの合意に至った背景として、IMFは、マクロ経済改革が順調に進んでいる点を挙げた。スリランカの2024年のGDP成長率が5.0%となった(2025年4月24日記事参照)ほか、2025年3月末時点での外貨準備高が65億ドルに達したことなど、これまでの改革の成果を高く評価した。また、IMFの金融支援プログラムは好ましい成果を上げており、3月末までの「指標ターゲット」はほぼ全て達成(速報値ベース)され、4月末までの「構造的ベンチマーク」も達成または遅延を伴いながらも達成できる見込みだとした。他方、「構造的ベンチマーク」のうち、電気料金の原価回収可能な価格設定(2024年7月25日記事参照)および2024年9月から継続するデフレ状態(2025年5月12日記事参照)は、課題として指摘した。
今後については、マクロ経済改革を進めるスリランカにとり、米国関税政策の影響に伴う世界経済の不安定化は脅威としたうえで、外貨準備高の再建と税務コンプライアンスの向上や、財務負担を低減しつつ汚職リスクを回避するような減税措置を整備していく必要があるとした。また、現政権の一貫した政策運営と、IMF金融支援プログラムを着実に遂行する姿勢がより一層重要となるとした。
なお、本審査の理事会での承認には、(1)電気料金改善および電気料金の自動調整メカニズム整備に向けた適切な機能の確保、(2)多国間パートナーによる資金拠出の確約や適切な債務再編の進捗確認など、金融保証審査の完了が必要とされている。
(注)Special Drawing Rightの略で、特別引出権。通貨ではないものの、その価値はドル、ユーロ、中国人民元、日本円、英国ポンドの5通貨のバスケットに基づいた国際準備資産。
(深津佑野)
(スリランカ)
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