2024年のGDP成長率は5.0%、中銀は今後も着実な経済回復を期待

(スリランカ)

コロンボ発

2025年04月24日

スリランカ中央銀行(CBSL)は4月7日、2024年の年次経済報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同報告書はスリランカ経済について、2024年は着実な回復が続き、当初の予想を上回る成長が実現したと評価した。2022年の経済危機後の改革により物価上昇率が緩和し、対外債務の再編が完了してデフォルト(債務不履行)格付けから脱却したほか、経常収支および基礎的財政収支は黒字となった。これらが経済活動の改善、購買力の回復、不確実性の軽減につながり、さらに2024年の後半に成立した新政権によって、経済改革の継続や一貫性のある政策運営が期待できるなど、政治的なリスクが緩和されたとしている。

今後の見通しについては、マクロ経済の安定化や国内での不確実性の解消により、経済回復の継続を見込む一方で、米国の関税政策など地政学リスクが世界的に広がることで対外経済部門や経済全体への悪影響を懸念している。

2024年の1人当たりGDPは過去最高の4,500ドル超に

また、スリランカ・センサス統計局(DCS)は3月18日に、2024年の実質GDP成長率を前年比5.0%外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。2022年と2023年には2年連続でマイナス成長に陥ったが、2024年にプラス成長に転じた。加えてDCSは、2024年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率を前年同期比5.4%と発表した。2023年第3四半期(7~9月)以降、6四半期連続のプラス成長となった。またCBSLによれば、1人当たり名目GDPは4,515.6ドルで、過去最高を記録した(注)。

2024年の産業別成長率では、農林水産業が1.2%増、鉱工業が11.0%増、サービス産業が2.4%増だった。農林水産業では畜産が14.1%増加し、鉱工業では鉱業・採石業、建設業がともに19.4%増加した。サービス産業では、宿泊・飲食サービス業が31.4%増と高い成長をみせた(添付資料表参照)。

DCSは、金利の引き下げにより経済が活発化するとともに、インフレ率の継続的な低下で経済回復への期待が高まったとした。一方で、生産者は仕入れにかかるコストの減少に伴い価格を引き下げたと分析している。その上で、スリランカ経済は今後も明るい見通しが期待されると予測する。

(注)2024年は暫定値。今後の人口統計により、更新される可能性がある。

(大井裕貴)

(スリランカ)

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