ペルー首相が辞任、4人の閣僚が交代
(ペルー)
リマ発
2025年05月16日
ペルーのグスタボ・アドリアンセン首相が5月13日に辞任を表明し、ディナ・ボルアルテ大統領がこれを受理した。翌14日、後任に前法相のエドゥアルド・アラナ氏が就任した。
議会では、14日にアドリアンセン前首相の不信任決議について審議される予定だった。ボルアルテ大統領は、首相の退任を回避するため、13日の午後2時時ごろ、ホセ・サラルディ経済財政相、フリオ・ディアス内相、ラウル・ペレス・レジェス運輸通信相の3閣僚交代を発表した。しかし、国民の関心事である安全対策への対応が不十分などとして、議会から理解は得られず、不信任決議の可決が濃厚になった。不信任決議を避けたいアドリアンセン前首相は13日の午後8時ごろ、辞任を発表した。首相の不信任決議を巡る駆け引きで、結果的に4人の閣僚が交代する内閣改造となった。ボルアルテ大統領は2022年12月に就任後、4人の首相、65人の大臣を任命したことになる。
アラナ新首相は弁護士で、ボルアルテ政権の2023年9月から法相を務めていた。裁判官や検察官の任命などを行う独立機関の国家司法評議会(CNM)の書記長や国家契約監督機関(OSCE)の審判員などを歴任。国立大学で教鞭(きょうべん)をとった経験もある。
経済財政相には、レジェス前運輸通信相が就任した。運輸通信省(MTC)では、リマ空港新ターミナルの供用開始を急ぐコンセッション受託先の空港運行会社(LAP)に対し、国際航空運送協会(IATA)などの関係者と連携して安全性を重視する姿勢を貫いた(2025年5月7日記事参照)。ボルアルテ政権下では、運輸通信相の直前まで生産相を務めていた。マルティン・ビスカラ政権時代の2018年から2019年にも生産相を務めたほか、2011年から2014年まで運輸通信省副大臣として地上デジタル放送の推進に携わり、2015年から2017年にエネルギー鉱山省副大臣も務めた。大学で教鞭をとった経験もある。
法相には、フアン・アルカンタラ前法務副大臣が就任した。リマ市など地方自治体の法務部門での勤務や労働雇用促進省副大臣の法務アドバイザーなど、行政機関の業務に30年以上携わっている。
運輸通信相には、セサル・サンドバル氏が就任した。進歩のための同盟(APP)の党員で、4月からボルアルテ大統領のアドバイザーを務めていた。現地エル・コメルシオ紙の報道によれば、サンドバル氏の入閣はAPP党の党首でラ・リベルタ州知事のセサル・アクーニャ氏の後押しもあるという。アクーニャ氏は、2026年大統領選挙への立候補に意欲的とされている。一方で、APP党はサンドバル氏の大臣登用について、党に対して事前の相談や交渉は一切なく政府の判断によるものであり、同党は関知していないと声明を発表している。
内相には、カルロス・マラベール氏が就任した。内務省所管の国家警察の元職員で、集団犯罪対策部長などを務めた。
(石田達也)
(ペルー)
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