4月のインフレ率は3.16%に低下、5年9カ月ぶりの低水準
(インド)
ムンバイ発
2025年05月16日
インド統計・計画実施省(MoSPI)が5月13日に発表した2025年4月の全国ベースの消費者物価指数(CPI、注1)は192.6ポイント(速報値)で、前年同月比3.16%の上昇にとどまった。2019年7月の上昇率(インフレ率)3.15%以来5年9カ月ぶりの低水準で、食品価格の落ち着きが全体のインフレ率を押し下げた格好だ(添付資料図参照)。
同指数品目の半分近くを占める食品のインフレ率(注2)は前年同月比1.78%となり、年明け以降、継続的に低下している(1月:5.97%、2月:3.75%、3月:2.69%)。野菜の生育が順調で、これまでインフレの主要因だった野菜のインフレ率はマイナス10.98%となり、42.18%だった2024年10月以降は低下傾向にある。全品目のインフレ率は都市部で3.36%、農村部で2.92%だった。
HDFC銀行のエコノミスト、サクシ・グプタ氏は「4月のインフレ率は、野菜、穀物、豆類を含む食品価格の継続的かつ幅広い下落を背景に、3.16%まで低下した。今回の低下は、インド準備銀行(RBI)による次回6月の金融政策決定会合での25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の再利下げを示唆するものだ」と述べている(「エコノミック・タイムズ」紙5月13日)。
なお、最近のインフレ率の落ち着きを受け、RBIは2会合連続で利下げを実施し、直近4月に行われた会合では、金融政策スタンスも「緩和的」に変更された(2025年4月16日記事参照)。
(注1)全国ベースのCPIは基準年の2012年を100とし、農村部と都市部の各CPIを加重平均したもの。
(注2)ここでは、CFPI(消費者食品物価指数)のインフレ率を記載。
(篠田正大)
(インド)
ビジネス短信 13770836e897df0e