インド準備銀、2会合連続の利下げ決定、金融緩和姿勢を強化
(インド)
ムンバイ発
2025年04月16日
インド準備銀行(RBI、中央銀行)は4月7~9日に金融政策決定会合(MPC)を開催し、政策金利(レポレート)を25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げて、6.00%とすることを全会一致で決定した(添付資料図参照)。利下げは2025年2月以来2会合連続となる(2025年2月19日記事参照)。また、金融政策のスタンスを従来の「中立(neutral)」から「緩和的(accommodative)」に変更し、成長支援へ金融緩和姿勢を一段と強めた。
今回の決定は、世界的な貿易摩擦や政策不透明感が再燃する中、成長の下振れリスクが高まっていることを踏まえた措置とみられる。RBIは2025年度(2025年4月~2026年3月)の実質GDP成長率見通しを6.7%から6.5%に下方修正し、同時に、消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)予測も4.2%から4.0%へ引き下げた。声明では、直近の米国による関税措置が企業や家計の支出決定に影響を与えているほか、世界経済成長の減速を通じて内需にも波及する可能性があると指摘した。
一方、インフレ率は総じて落ち着いており、特に食料品価格の安定や原油価格の下落が物価全体を下押ししている。RBIはこうした状況を踏まえ、インフレ率がRBIの定める中期目標の4%水準に持続的に収束する見通しに自信を示している。また、今回のMPCでは、金(ゴールド)担保貸付に関する規制整備や協調融資制度の拡充、UPI(注)の取引上限緩和など計6項目の追加措置も併せて発表した。
市場関係者からは、今回の決定について「利下げ期待の高まりを抑えつつ、成長支援とのバランスを取った対応」と評価する声も聞かれた。 英銀行HSBCインド担当チーフエコノミストのプランジュル・バンダリ氏は、米国による対インド相互関税(26%)が2025年度の成長率を0.5ポイント押し下げる可能性に言及し、「マクロ経済の安定を意識した慎重な対応が必要」と指摘している(「ヒンドゥスタン・タイムズ」紙4月10日)。
(注)UPIはUnified Payments Interfaceの略で、インド決済公社が運営するリアルタイム送金システム。
(篠田正大)
(インド)
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