中国自動車メーカーのSWM、トルコで生産開始へ
(トルコ、中国)
イスタンブール発
2025年05月21日
中国のSWM〔斯威汽車、鑫源集团(Shineray Group)傘下、注1〕のトルコ法人SWMトルコは5月13日、トルコ中西部エスキシェヒルで2025年第4四半期に自動車生産を開始すると発表した。同社のコマーシャルディレクターであるブラク・アズマノール氏が、現地テレビ局「HABER TURK」の番組インタビューに答えるかたちで明らかにした。提携先となるウルゼマ・ホールディングが生産し、アトモ・グループ(注2)が販売をメインに進める計画となっている。
同社は今回の進出の背景として、トルコ国内市場で一定の大きな需要がある一方、2024年に発効した電気自動車(EV)とハイブリッド車(HEV)を含むすべての輸入車に課される高い関税措置の影響を挙げた(2024年6月11日記事、2025年1月14日記事参照)。計画では、トルコ市場で好まれるスポーツ用多目的車(SUV)モデルを、ガソリン車およびプラグインハイブリッド車(PHEV)において年2万5,000台規模の生産から開始し、将来的には中国からの輸入は行わず、国内での製造販売で完結させ、さらには輸出も見据えている(注3)。
トルコにおける自動車産業の製造拠点として、イスタンブール近郊のイズミットやアダパザル(自動車産業の中心地で日系をはじめ多くの自動車メーカーが点在)、自動車関連部品工場が多いブルサ、最近では、比亜迪(BYD)進出予定のトルコ西部マニサ、奇瑞汽車(チェリー)の進出が報じられている黒海沿岸サムスンなどもある。一方、同社は、物流アクセス面や製造拠点としての柔軟性から、あえて内陸部となるエスキシェヒルを選択した、と言及している。
トルコでは近年、中国自動車メーカーの関心が高まっており(2024年10月1日付地域・分析レポート参照)、BYDが約10億ドルを投資している。同社は、トルコ西部マニサに年間15万台のEVとHEVの生産工場に加えモビリティー技術開発センターを設立すると発表し、2026年の生産開始を目標に計画(2024年7月16日記事参照)が進められている。
(注1)SWMは、1971年にイタリアで設立されたオートバイメーカーだったが、中国資本化した後、自動車生産を開始し、自動車およびオートバイの生産をおこなっている。近年、HEVやEVの生産にも注力している。
(注2)アトモ・グループは、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ、バルカン諸国をはじめとする各国で事業展開する自動車ディストリビューター。2022年にトルコ市場へ参入し、中国メーカーのチェリーの自動車販売などを手掛けているが、2023年にトルコにおけるSWMブランド唯一の正規販売店となっている。
(注3)トルコはEU関税同盟をはじめ、多くの国と自由貿易協定を結んでいる(トルコWTO・他協定加盟状況)。
(井口南)
(トルコ、中国)
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