アルバニア議会選挙、与党の社会党が圧勝、ラマ首相4期目へ

(アルバニア)

ウィーン発

2025年05月22日

アルバニア議会選挙が5月11日に行われ、エディ・ラマ首相率いる社会党が国内における投票で得票率52.2%(注)(前回比3.5ポイント増)、83議席を獲得し、定数140議席の議会で過半数を得た。一方、サリ・ベリシャ前大統領率いる民主党を中心とした野党連合は前回比5.2ポイント減の34.3%(50議席)で大敗した。そのほか、左派の社会民主党と「共同運動」(それぞれ3議席、1議席)、中道右派の「機会党」と「真のアルバニアへの運動」(それぞれ2議席、1議席)が議席を獲得した(添付資料表1参照)。

2013年から政権を握っているエディ・ラマ首相にとっては、新政権が発足すれば連続4期目になる。ラマ首相は主要な公約として、アルバニアを2030年までにEU加盟にさせるとしていたが、2030年までの加盟交渉完了は非現実的だとの見方も多い(「デア・スタンダード」紙5月13日)。アルバニア人のEUに対する姿勢は積極的で、2024年秋のユーロバロメーター調査によると、加盟交渉中の国の中で最多となる人口の83%が自国のEU加盟は望ましいと回答した。

経済が順調に成長

アルバニアのGDP成長率は、新型コロナ禍の2021年においても9%となり、2022~2024年は4%前後で推移していた。ウィーン比較経済研究所(WIIW)の春季経済予測によると、2025~2027年の成長率予測もそれぞれ3.7%、3.9%、4.0%と、EU27カ国の平均を大幅に上回る見通しだ(2025年5月8日記事参照)(添付資料表2参照)。成長の原動力は、政府支出、建設、個人消費と観光とされている。ただし、2022年以降は財の輸出減と輸入の拡大により、経常収支が悪化している(2024年にGDP比で2.4%の赤字)。一方、消費者物価指数上昇率は2024年に2.6%となり、2023年の5.3%から半減した。対内直接投資額(フロー)は2024年に過去最高の約15億8,000万ユーロとなった。対内直接投資の主な業種は製造、金融・保険、不動産で、主な投資元国はイタリア、トルコ、オランダおよびオーストリア。

(注)アルバニアでは、今回の選挙で初めて在外投票が認められた。本稿では、国内投票の得票率を基に記載。

(エッカート・デアシュミット)

(アルバニア)

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