新自動車産業政策の燃費効率・CO2排出量・リサイクル率の要件公布
(ブラジル)
サンパウロ発
2025年05月01日
ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は4月16日、新自動車産業政策(MOVER、2024年1月15日記事参照)に関する詳細を規定した政令第12435号を公布した。MOVERは脱炭素化と技術革新、研究開発、部品の現地開発・生産を奨励する目的で、2023年12月に導入したプログラムだ。今回公布した政令は、MOVERのうち自動車の燃費効率や二酸化炭素(CO2)排出量、リサイクル率などに関する要件を対象としている。
燃費効率・CO2排出量については、車両重量や車両タイプに応じて、それぞれの車両が達成すべき燃費効率、CO2排出量の基準に関する計算式を細かく設定している(注1)。2025年6月1日以降、新車販売が認められるには、製造事業者または輸入事業者が基準を満たしていることを証明する必要がある。基準を満たさない場合、罰金が科される。
リサイクル率については、2027年1月1日以降、乗用車は車両重量の80%を再利用・リサイクル可能な材料で、小型商用車は85%を再利用・リカバリー可能な素材で作ることを義務付ける(注2)。2030年1月1日以降は、義務付けの範囲が乗用車で車両重量の85%、軽商用車は95%まで引き上げる(注3)。
MOVERでは、燃費効率・CO2排出量に関して設定された義務的要件をクリアした車両に対して、工業製品税(IPI)の減税が受けられることになっているが、今回公布の政令では、この点に関する規定は盛り込まれていない。開発商工サービス省のウアラセ・モレイラ産業開発・イノベーション・貿易・サービス局長は自動車業界情報サイト「オートデータ」(4月22日付)のインタビューで、IPIの減税措置案は現在、財務省で検討されていると説明した。
(注1)CO2排出量は、油井(well)から車輪の回転(wheel)までのエネルギー転換全体の排出量を測る「Well to Wheel」基準で計算する。
(注2)リカバリーという言葉の概念には、リサイクルのほか、再生、再利用、熱回収(熱エネルギーを回収しながら、廃棄物を焼却すること)など、多様なプロセスが含まれている。
(注3)同規定は2027年1月1日以降に国家交通事務局(Senatran)に新規登録される新車種にも適用する。乗用車は車両重量の85%を再利用・リサイクル可能な材料で、軽商用車は車両重量の95%再利用・リカバリー可能な素材で作ることを義務付ける。
(エルナニ・オダ)
(ブラジル)
ビジネス短信 06e744807737688c