連邦政府、新自動車産業政策を発表

(ブラジル)

サンパウロ発

2024年01月15日

ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は12月30日、同国の自動車産業の脱炭素化、競争力強化、投資促進などに向けた新自動車産業政策(MOVER)を導入する大統領暫定措置令1,205号を公布した。同プログラムは2018年開始の自動車産業支援策「Rota 2030プログラム」の後継政策となる(注1)。

今回公布したプログラムの主な内容は次のとおり。

(1)燃費効率・二酸化炭素(CO2)排出量や構造性能・運転補助装備に関して義務的要求を設定し、クリアした車両に対して工業製品税(IPI)の減税を与える(注2)。具体的な要求項目や税率は今後定める。

(2)CO2排出量削減効果は、油井(ウェル)から車輪の回転(ホイール)までのエネルギー転換全体の排出量を測るウェル・トゥ・ホイール基準で計算する。また、2027年以降のCO2排出量削減効果は「ゆりかごから墓場まで」という計測基準で、車両や燃料の原材料の採掘、製造、利用、廃棄までの行程を含むより総合的に排出量を計測する基準を導入する予定。

(3)ブラジル国内で研究開発投資を行う企業にタックスクレジットを付与し、そのクレジットで連邦税の控除を受けることができる。ただし、連邦政府が設定する各年のクレジット総額には上限を設けている。2024年は35億レアル(約1,050億円、1レアル=約30円)、2025年38億レアル、2026年36億レアル、2027年40億レアル、2028年41億レアルを上限として、クレジットを付与することができる。

(4)国内調達不可能な自動車部品に対して輸入関税免除を行う。ただ、その条件として、輸入事業者には輸入額の2%相当額を研究開発に拠出する必要がある。今後、国立経済社会開発銀行(BNDES)が拠出される資金の受け皿として産業技術開発国立基金(FNDIT)を設立、運営する予定。

1月4日付の現地紙「エスタード」によると、ブラジルの全国自動車製造業者協会(ANFAVEA)とブラジル電気自動車協会(ABVE)は「MOVER」を歓迎した。ANFAVEAは「明確なルールが導入され、民間企業が計画的に投資を行うことができる」と述べた。ABVEのリカルド・バストス会長は「ブラジルもこれから(自動車業界の)新技術の道を歩むこととなる」と同プログラムを評価した。

(注1)「Rota 2030プログラム」は、2012年に開始された「Inovar Autoプログラム」の後継政策(2018年12月27日付地域・分析レポート参照)。

(注2)Rota 2030のルールを定めた2018年11月8日付政令第9557号では、車両のタイプに応じて、それぞれの車両が達成すべき燃費効率の基準を設定した。また、走行中に急ブレーキをかけた際に後続車に緊急制動中であることを伝える装置の緊急制動信号システム(ESS)や、シートベルトが装着されていない場合に運転者に警報する装置のシートベルトリマインダー(SBR)などが構造性能・運転補助装備として義務的要求と設定した。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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