EU、マイクロプラスチック汚染防止規則案で政治合意、海運事業者も対象に
(EU)
ブリュッセル発
2025年04月15日
EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会は4月8日、マイクロプラスチック汚染防止規則案に関し暫定的な政治合意に達したと発表した(プレスリリース)。規則案は、マイクロプラスチック汚染の原因の1つであるプラスチックペレット(注)の流出を予防し、流出した場合には封じ込め、回収するためのリスク管理計画の策定義務のほか、流出事故発生時の通知義務などを事業者に課すものだ。規則案は今後、両機関による正式な承認を経て施行される見込み。なお、現時点では政治合意の詳細は公表されていない。
政治合意は、おおむね欧州委員会の提案(2023年10月18日記事参照)に沿った内容とみられるが、適用対象など一部で修正が加えられた。欧州委案では、同規則案の対象はEU域内でプラスチックペレットを年間5トン以上取り扱う事業者とEU域内でプラスチックペレットを運送するEU域内外の輸送事業者だが、政治合意では域内の港湾を利用しプラスチックペレットを運送する海運事業者も追加された。
また、リスク管理計画に対する独立した第三者機関からの認証取得義務については、政治合意案では、原則として取扱事業者の大小ではなく、取り扱うプラスチックペレット量の大小で区別するとし、その基準を欧州委案の年間取扱量1,000トンから1,500トンに引き上げた。これにより、欧州委案で除外されていた小規模事業者であっても、年間1,500トン以上のプラスチックペレットを取り扱う場合、独立した第三者機関からの認証が必要となる。ただし、規制簡素化の観点から、小規模事業者については、規則案の施行後5年以内に取得する一度限りの認証で済むなどの負担軽減措置が加えられた。なお、年間取扱量が1,500トン未満および零細企業は、同計画が同規則案に適合している旨の自己宣言を加盟国当局に通知するだけでよい。
このほか適用開始時期は、欧州委案から後ろ倒しとなる施行から2年後、海運事業者についてはさらにその1年後からとなる。
(注)マイクロプラスチックは、大きさが5ミリ未満のプラスチックの粒子や細片。プラスチックペレットは、リサイクル製品の原材料となるもので、使用済みプラスチックを細かく砕いて異物を除去・洗浄・乾燥し、粒状にしたものを指す。
(吉沼啓介)
(EU)
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