欧州委、森林破壊防止デューディリジェンス規則の簡素化措置を発表

(EU)

ブリュッセル発

2025年04月17日

欧州委員会は4月15日、森林破壊防止のためのデューディリジェンス義務化規則(2023年6月13日記事参照)に関するガイドライン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますFAQ(よくある質問)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを更新した。同規則は適用開始を1年間延期することが既に決定しており(2024年12月5日記事参照)、今回の更新はさらに規則の簡素化措置を導入するものだ。欧州委は、一連の施策によって企業の規制対応費用を約3割削減できるとしている。なお、ガイドラインとFAQの更新は、規則を改正するものではなく、欧州委による規則の解釈を修正するもので、法的拘束力を有しない。主な簡素化措置は次のとおり。

  • 事業者は域内で対象製品を販売する場合などに、デューディリジェンス宣言書を事前に提出することが求められるが、宣言書の提出は製品の発送ごとやバッチごとではなく、年1回の提出で済ますことが認められる。これは1つの宣言書の対象に最長で1年間分の発送・バッチを含めることができるためだ。ただし、宣言書が対象とする製品の総量とデューディリジェンスの実施対象の総量は一致していなければならず、宣言書が対象とする製品の総量を超える分については、新たな宣言書を別途提出することが求められる。
  • 大規模事業者(非中小企業)が域内から輸出された製品を再輸入する場合、あるいは、上流で適切なデューディリジェンスを受けていると確認できる場合、供給事業者など上流の事業者のデューディリジェンス宣言書の参照番号を取得し、自身のデューディリジェンス宣言書に明記した上で提出することができる。これにより、宣言書に記載が必要な情報を減らすことが可能となる。
  • 同一の認定代理人は、企業グループ内の複数の企業を代表し、デューディリジェンス宣言書を提出することができる。

欧州委はまた、対象製品の範囲を明確化する委任規則案を発表し、パブリックコンサルテーション(公開諮問)を開始した。このほか、EU内外の国や地域の森林破壊リスクを区分するベンチマーク制度で「高・低リスク国」を規定する実施規則を6月30日までに採択するとしている。

(吉沼啓介)

(EU)