トランプ米大統領の印象調査、チリで6割がネガティブな評価

(チリ、米国)

調査部米州課

2025年04月02日

民間調査会社のカデム(CADEM)は3月30日、チリ居住者を対象とした世論調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)の結果を公表した。同調査の中で、米国のドナルド・トランプ大統領に対する印象(注2)を問う質問を設け、回答者の4割がポジティブな印象、残りの6割がネガティブな印象を抱いているという結果となった。同様の質問に対する過去からの回答の推移(添付資料図1参照)を見ると、米国大統領選の投開票があった2024年11月から大統領就任式が行われた2025年1月にかけて、ポジティブな印象を抱く割合が高まった後、3月にかけてはその熱が落ち着きつつあることが分かる。

同様に、米国、チリ、世界経済などさまざまな国やテーマについて、トランプ政権の影響を問う質問では、2024年11月から2025年3月にかけて多くの項目で「ポジティブ」という回答の割合が低下する傾向にある(添付資料図2参照)。さらに、トランプ政権下の各種施策への賛否を問う質問では、「ロシアとの和平交渉へ向けたウクライナへの軍事支援の制限」を除く項目では、反対が多数を占めた(添付資料図3参照)。

米国での232条調査によって、銅への関税賦課の可能性浮上

米国商務省センサス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2024年の米国からチリへの輸出額は181億6,780万ドル、チリから米国への輸入額は164億6,950万ドルで、米国にとって16億9,830万ドルの貿易黒字となっている。従って、米国側の貿易赤字の是正を目的とした追加関税賦課などの措置の対象として、チリが含まれることは一般的には考えづらい。しかし、米国では2月25日に銅輸入が米国の安全保障に与える影響の調査を命じる大統領令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが発表され(2025年2月26日記事参照)、チリでは2日後の27日に、米国向けに輸出される銅に関税が賦課された場合の影響を調査する作業部会が開催された(2025年3月11日記事参照)。銅産業を中心とする鉱業はチリの主要産業で、米国は銅輸出総額の約1割を占める重要な市場となっている。

(注1)チリ国内16州のいずれかに居住する18歳以上の男女が対象。3月26~28日に実施し、有効回答数は703件、回答率は9.8%。

(注2)7点満点の評価方式で、5~7点を肯定的な印象、1~4点を否定的な印象として集計している。

(佐藤竣平)

(チリ、米国)

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