米司法省、4月第1週に起訴した不法移民は900人以上と発表、トランプ政権発足で取り締まり強化続く

(米国)

ニューヨーク発

2025年04月16日

米国司法省は4月8日、「米国奪還活動(Operation Take Back America)」の一環として、南西部国境地区の連邦検事が4月第1週に起訴した不法移民は900人を超えると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同地区には、アリゾナ、カリフォルニア、ニューメキシコ、テキサスの4州が含まれ、起訴は移民関連の犯罪が理由だとしている。同省は発表で、ドナルド・トランプ大統領の就任以降、不法移民の入国阻止、カルテルや国際犯罪組織の完全排除など、同省が「米国奪還活動」で重要な役割を果たしたと述べた。

トランプ政権発足以降、不法移民や犯罪組織に対する取り締まりが強化されている。トランプ氏は3月15日、ベネズエラの犯罪組織「トレンデアラグア」に所属する移民に対し、「敵性外国人法」を適用して強制送還する大統領布告を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。トレンデアラグアは、米国務省が外国テロリスト組織と指定しており、メンバーの一部が米国の一時保護資格(TPS、注1)を不法に入手した可能性があるとも疑われていた。だが、最高裁判所は、強制送還されたベネズエラ人にはこの組織のメンバーではない人も含まれている可能性があるとの見解を示していた。大統領布告発表と同じ日、米国自由人権協会(ACLU)とデモクラシー・フォワード、ACLUワシントンは、移民の強制送還への敵性外国人法の適用に関して、トランプ政権を起訴PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。一方、米主要メディアによると、最高裁は4月7日、起訴対象となった5人の不法移民に異議申し立ての機会を与えることの引き換えに、同法の適用を認めた。

そのほか、トランプ政権下での取り締まり強化には、国土安全保障省(DHS)が内国歳入庁(IRS)に対して、不法移民の疑いがある700万人近くの所在を確認するために、納税データを提供するよう求めていた件がある(注2)。これに関してIRSは4月7日、DHSに情報を提供することに同意した。米メディアは、長年にわたって不法移民に対して確定申告を促し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますつつ、機密情報の保護を保証してきたIRSにとっては大きな転換になると指摘している(政治専門紙「ポリティコ」4月7日)。

(注1)ベネズエラのTPS指定は2月3日に一時取り消されたが(2025年2月7日記事参照)、サンフランシスコのエドワード・チェン連邦判事が3月31日、DHSに対して続行するよう命じた。

(注2)当初は70万人と報道されていた(2025年3月6日記事参照)。

(吉田奈津絵)

(米国)

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