米ロサンゼルス経済開発公社、高関税政策による地域経済への影響は甚大と分析

(米国)

ロサンゼルス発

2025年04月25日

米国のロサンゼルス経済開発公社(LAEDC)は4月22日、貿易・物流クラスターに関する報告書を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。報告書では、同地域の貿易・物流部門が南カリフォルニアやカリフォルニア州全体の経済を支える柱の一方で、高関税・保護主義的政策の影響を受けやすいと分析している。

北米最大の貿易の玄関口である南カリフォルニアでは、貿易・物流部門が約200万人の雇用を支え、約5,000億ドルの域内総生産額、約930億ドルの税収の創出に貢献するなど、最も重要な経済の牽引役の1つとなっている。

しかし、ロサンゼルス港の貨物取扱量は5月に少なくとも10%減少するなど、2025年内を通じて減少が予想される中、トランプ政権による関税引き上げは地域のサプライチェーン全体の業務量減少につながり、港湾運営者や運送業者、卸売業者などの労働者に影響を与えると指摘している。また、輸入業者が原材料を購入するために支払った関税コストが地域全体の消費者に転嫁されることになると説明している。さらに、米国の関税政策の不確実性は、南カリフォルニアに拠点を置く多くの外資系企業にも影響を与え、企業が投資先を他の地域に移す可能性もあるとしている。

特に中国は南カリフォルニア最大の貿易相手国で、2024年には同地域の港湾を通じて約1,300億ドルの中国製品が輸入された。中国製品への追加関税に加え、それに対する中国の報復措置によって対中貿易が大きく減少し、同地域の経済への影響は甚大になると分析している。

報告書では、関税政策による経済的損失の見込み額までは記載していないが、「ロサンゼルス・タイムズ」紙電子版(4月22日)によると、LAEDCのスティーブン・チャン最高経営責任者(CEO)は会見で「2018年の米中貿易戦争が手掛かりになるかもしれない。当時、中国はワインなどに報復関税を課した。その直後、中国への米国産ワインの輸出量は25%減少した。同じロジックで考えれば、(今回の関税措置が)いかに大きな打撃となるかが分かるだろう」と述べている。

(堀永卓弘)

(米国)

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