米国の水素自動車製造のロン、サウジアラビアでの投資計画発表
(サウジアラビア、米国)
リヤド発
2025年04月22日
米国の新興自動車メーカーのロン(Ronn)は4月16日、サウジアラビアでの合弁事業(JV)に関する投資計画を発表した。同社はアリゾナ州に本社を構え、水素自動車と関連インフラを扱っている。ロン・フォード最高経営責任者(CEO)は「この契約は、サウジアラビアの著名なインフラ企業グループと、双方が50%ずつ株式を有する合弁会社の設立と、財務面でサウジアラビア側が90%負担することを約束するものだ」と説明し、中東地域への戦略的事業拡大で極めて重要な前進とした。同社が発表した合弁事業の内容は次のとおり。
- ロンとサウジアラビアのパートナーが50%ずつ株式を所有。
- サウジアラビアのパートナーグループが米国とサウジアラビア両国でのオフィス設立や初期段階の製造開発を含むインフラ整備のための資金の90%を提供。
- (米自動車メーカーの)ラウシュ(Roush)とのClass3-6(注1)の水素物流トラックのプロトタイプの完成、製造工程管理、米国での生産開始を支援するための初期資金の拠出。
- サウジアラビアの主要都市に物流車両を配備するため、同国での第2工場に係る事業開発。
- 米国とサウジアラビア両国で数百人規模の製造、研究開発関連の雇用創出。
- 米国でハイパーカー(注2)のエンジニアリングと製造工程管理を完了、サウジアラビアでの最終組み立てと工場開発により地域の需要に対応。
ロンはこの合弁事業で、経営陣のリーダーシップ、知的財産、独自の水素技術、ラウシュや自動車部品大手マグナのような製造業と戦略的関係を提供する。
ロンは前週の9日に、サウジアラビアでの戦略的商業市場アクセス契約を地場企業と締結したと発表していた。同契約は水素を動力源とするスーパーカー、商業用モビリティープラットフォーム、水素トラック、モジュール式燃料供給インフラなど、同社が有する水素技術の現地生産と地域展開を視野に入れたものだ。同社はフェーズ1として地域統括会社を設置することも明らかにしていた。
なお、ロンはサウジアラビア側パートナー企業の要望に基づき、同企業の社名を発表していない。
(注1)車両重量が4.5トンから11.8トンまでの中型トラック(Medium Duty)の分類。全体で8クラスに分類される。
(注2)スーパーカーよりも高性能で出力の高い車の総称。
(秋山士郎)
(サウジアラビア、米国)
ビジネス短信 e9fc7380e3a9bce0