米国最大のバー・レストラン経営者向け食品見本市で、日本産水産物の販路開拓を図る

(米国、日本)

農林水産食品部商流構築課

2025年04月02日

米国ネバダ州ラスベガスで3月24~26日、食品見本市「バー・アンド・レストラン・エキスポ2025外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が開催され、ジェトロは水産品・水産加工品などに特化したジャパンパビリオンを設置した。

同見本市は2025年で開催40年目を迎える、米国最大のバーおよびレストラン経営者向けの食品見本市で、来場者の多くが経営決定権を有するとされる購買意欲の高いバイヤーなのが特徴だ。2024年の開催に続き(2024年4月2日記事参照)、今回も食品、飲料、調理機器などを取り扱う約500社・団体が出展し、前回を2,000人ほど上回る約1万5,000人の来場者が訪れた。

写真 会期初日の会場エントランスの様子(ジェトロ撮影)

会期初日の会場エントランスの様子(ジェトロ撮影)

ジャパンパビリオンは、東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水に関連し、中国など特定国による水産物などの輸入停止措置により大きな影響を受けた日本産水産物の輸出先の多角化を図ることを目的として設置した。日本産水産品および日本産水産加工品を中心に、バイヤーへの訴求力を高めるべく、水産物と相性の良い調味料や酒類などを取り扱う32社・団体が出展した。

写真 ジャパンパビリオンはシーフードをモチーフにしたデザインに(ジェトロ撮影)

ジャパンパビリオンはシーフードをモチーフにしたデザインに(ジェトロ撮影)

同見本市は今回から会場を2階層での開催とし、1階は主に飲料や調理機器のブース、2階に食品ブースを集約させていたが、ジャパンパビリオンは常に多くの来場者でにぎわっていた。また、新興市場のテキサス州をはじめとした米国中西部からも多くのバイヤーが訪れた。

ある出展企業は「テキサス州などの新興市場から、ホテル、レストラン経営者やディストリビューター、大型エンタメ施設関係者が来訪し、積極的な商談機会が得られた。昨今、米国ではインフレや景気後退懸念などから日本食レストラン向けのビジネスは厳しく、こうした新興市場の獲得に向けた取り組みはありがたい」と話した。

また、実際にホタテやハマチなどを試食したテキサス州のバイヤーからは、「日本の水産物は非常に品質も良くおいしい。テキサスでも漫画やアニメなど日本の文化がどんどん浸透しており、日本食への関心も高いので、水産物も今後さらに普及していくのではないか」と期待の声が上がった。

一方で、来場者が多い分、サンプルや試食がすぐに品切れとなるケースや、絶えずバイヤーが訪れるため、時間をかけて商談する暇がなかったというケースも見受けられた。より効果的な商談機会とするためには、事前にターゲットを絞り、該当バイヤーがブースを訪れた際により積極的な情報提供、売り込みを展開し、具体的な商談に誘導するなど、工夫が必要だろう。

同見本市への出展は、米国の従来の日本食とは異なる市場やさまざまな業種から、経営決定権を有するとされるバイヤーが多く訪れ、より具体的な商談機会が期待できることから、米国における新しい商流を狙うチャンスとなり得る。出展者からも「来年もぜひ出展したい」という声が多く寄せられた。

次回は2026年3月23~25日に開催される予定。

(小笹紘大、木村恒太)

(米国、日本)

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