カリフォルニア州知事、トランプ政権による関税の撤廃を求めて訴訟提起
(米国、カナダ、メキシコ)
ロサンゼルス発
2025年04月18日
米国カリフォルニア(CA)州のギャビン・ニューサム知事(民主党)と同州司法長官のロブ・ボンタ氏は4月16日、トランプ政権による関税措置に関して連邦裁判所に訴訟を起こしたと発表した。この訴訟では、ドナルド・トランプ大統領には国際緊急経済権限法(IEEPA)(注)に基づいてメキシコ・カナダ・中国への関税および一律10%のベースライン関税を一方的に課す権限はなく、IEEPAを用いて関税を課す行為は違法であり、前例がないと主張している。
これらの関税はサプライチェーンを混乱させ、全米最大の経済規模を誇るCA州経済に数十億ドル規模の損害を与えるという。ニューサム知事は「トランプ大統領の違法な関税は、CA州の家庭、企業、経済に対して、物価高騰と雇用危機という混乱をもたらしている。私たちは米国の家庭のために立ち上がる」とコメントしている。
一方、ホワイトハウスのクシュ・デサイ副報道官は「ニューサム知事はCA州でまん延する犯罪、ホームレス問題、住宅価格の高騰に取り組む代わりに、トランプ大統領がわが国の根深い財政・貿易赤字という国家非常事態にようやく対処しようとする歴史的な取り組みを阻止しようと時間を費やしている」と今回の訴訟を非難する。
ニューサム知事は4月4日、各国に対してCA州産の輸出品を報復関税の対象から除外するよう要請していた。「デイリー・ブリーズ」紙(電子版4月16日)によると、CA州は2025年に入ってからトランプ大統領の政策に異議を唱える訴訟を10件以上起こしている。ニューサム知事が原告となるのは2025年で初めてだ。1月にロサンゼルスで発生した大規模な山火事の後、同州が連邦政府の支援を求める中で、同知事はトランプ政権に反発するような発言を控えていたという。
(注)IEEPAについては、2024年12月10日付地域・分析レポート参照。
(堀永卓弘)
(米国、カナダ、メキシコ)
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